わたしは、もう我慢の限界だ

後輩は次のように書いた
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わたしは、もう我慢の限界だ
わたしは、もう我慢の限界だ
もう、待つべき時間を、待った
あなたを、充分待った
でも、あなたはもう来ない
わたしは、待ちくたびれて、心に穴が開きそうだ
どうしても、わたしのことが嫌いなら
「嫌いだ」と、はっきり答えてほしい
でも、あなたは、もういない
答えては、くれない
答えすら、聞けない
あなたの美しすぎる存在が、わたしの心から消えないことを悔やむ
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そうですか、心に穴が開きそうですか。
あ、もう、あいてるよ、そこに、ほら、ぽっかり。
さっきから、何の穴だろうと思ってたよ。
「あなたの美しすぎる存在が、わたしの心から消えないことを悔やむ」
と言うけれど、心から消えた方がいいわけでもないんでしょう?
ますます純化されて美しくなるよね。
そうすると、次に君と出会う人がはげしい嫉妬をするんだ。
どんなに説明しても、心の中の彼女をまだ思っているのじゃないかと
手を焼かせる。
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彼女がやって来て、手を取り、愛していると告げ、
ワーグナーのオペラみたいに幸せになればいいのだろうか。
あんな風に脂っこく生きたいかい?
多分年月が立てばいまの鋭い気持ちもすっかり忘れて
車でイオンまで行って買い物なんかしているのじゃないか?
洗濯ばさみを買い忘れてメモを忘れたやつが悪いとか、
覚えていられないやつが悪いとか、
言い合ったりして。
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嫌いなら嫌いだと言って欲しいと言うけれど
きっぱりと嫌いというほどでもない、という場合もあると思う。
トヨタでなくてもホンダでもマツダでも用は足りるわけだ。
君にとって彼女は唯一無二なのに
彼女にとって君は普通だという矛盾だ
でもさ、それは根本的にどうしようもない恋愛の矛盾だと思うよ
恋愛の根本矛盾の定理
いい女は俺にはほれない+だめな女は俺にほれるがこっちは関係ない+中間はいない=俺は恋とは関係がない
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彼女がそんなにもすばらしい人であるなら
我々のような出来損ないに恋をするはずはない
逆に我々に恋をするような程度の女性は
どうせたいした女性ではない
お互いあこがれもしないくだらない存在とマッチングさせられる運命なんだ
そんな異性にドキドキすると言うなら
おめでたいわけだ
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君から見て彼女は一言で言って美しすぎる存在であるわけだけれど
女性から見て男性をそのように理想化して表現する言葉はどんなものになるだろう
たぶん、美しいというような、脱社会意味的な言葉ではなくて
社会の中で有用な人間というような社会的な形容になるのではないだろうか
君の熱い思いとは関係ないけれどそんなことも思った
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限界だからと言って
スズキやミツビシで間に合わせる気はないんでしょう?
それは相手に失礼というものだし。
自分にも誠実じゃない。