英語の発音

こういう記事

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 ぼくはRの発音を米国の文房具屋の店先で学びました。小学生くらいのアメリカ人の子供がお店の人に、「売れ」と言っていたのです。「お店だから、当然売るさ」とぼくは思いました。一瞬のことでしたから、アメリカ人が日本語を話すわけがないと考える余裕はありませんでした。次の瞬間に、お店の人が赤いノートを出してきたのを見て、「そうか。赤いのが欲しいと言ってたんだ」と分かりました。
「売れ」とは「red(赤)」のことだったのです。
 日本人はRとLの音がうまく発音できません。日本語の「らりるれろ」はL に近い音です。これに対して、R の発音はまず唇で「う」の音をつくります。そのあとR を発音するわけです。
 red (赤)は「ゥレッド」となります。ただし、Dはほとんど聞き取れない音ですから、ぼくらの耳には「ゥレッ」と聞こえます。つまり、「売れ」です。この経験で日本人には難関と言われるRの音が発音できるようになったのです。
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米国留学中にぼくの叔母が訪ねて来ました。当時日本は香水への輸入関税が高かったので、海外旅行に行くと誰もが必ず香水を買ったものでした。叔母もぜひ買いたいというのでデパートに連れて行きました。
 1階の案内係に行って、ぼくは「香水売り場はどこですか?」と聞きました。ぼくの英語は単語だけ。”Perfume?”(パーヒューム?)」だけです。
 ところが、これが通じません。そんなものはない、と言われてしまいました。しかし、デパートに香水がないわけがない。日本でも米国でも1階のどこかに必ずあるものです。ぼくは自分の鼻を頼りに香水売り場を探し出しました。
 悔しかったので、帰りがけに案内嬢に「これが香水っていうやつだ」と言い、叔母が買った品物を目の前に置きました。すると、「なあんだ」という顔をして、「プーヒューム」と言いました。
 ぼくの発音はパーヒューム、正しい発音はプーヒュームです。「パー」と口を大きく開けたのがいけませんでした。
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 とはいうものの、そんなふうにして学んだところで、伝えたいことなんて僕には何も無いんだ
どうせ下を向いた草食動物なんだ