社会リズム療法(Social Rhythm Therapy)

社会リズム療法(Social Rhythm Therapy)をいかに洗練させてゆくか考えている

初歩的にはもちろん
睡眠と覚醒のリズム
食事と排泄のリズム
交感神経と副交感神経のリズム
緊張とリラックスのリズム
月経リズム
を眼目として
社会リズム記録(Social Rhythm Metic)を記録する
一日のうちで最初に人と会った時間、挨拶した時間、話をした時間なども書く
これは対人交流のリズムということになる
リズムを記録してゆくことは
リズムを正すことが目標なのだけれど
ではどうなったら正しいリズムであるのかは
人によって違うので一律には言えないところがある
簡単にいえばNHK的で小学生的な生活が健康なのだけれど
それぞれに事情というものもある
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概日リズム(サーカディアンリズム)が基本となるが
女性の場合のように月単位のリズムもあり
季節のリズムもある
学生なら試験にあわせたり
会社ならば決算にあわせたり
農業の人は農作物に合わせてのリズムがある
いろいろなリズムが発生する
そうしたリズムの複合体としての生体がある
周期の異なる正弦波を重ねあわせて、なお、大きな不整合が発生しないように
調整すること
抽象的に言えばそのようなことが治療の目標となる
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リズムは主にmanic cellが刻んでいるのだと思う
強迫性細胞は常に一定であるし
うつ細胞はすぐに活動を停止する
だいたい12時間で疲れて12時間で回復するマニーセルがサーカディアンリズムの主体になる
それぞれのマニックセルによってダウンまでの周期が異なる
だから複雑なリズムになる
かなり複雑なリズムならば一気に休止ということはなくなるのであるが
全体の整合性が高まると
つまり集中力が高まると
一気にダウンする確率も高くなる
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都会で働いている優秀な人達はだいたいが中学時代なんかは秀才で通した人だと思う
よく調べてみると体質としては躁鬱気質のところがあって
躁状態に近い時に勉強がとても良くはかどったはずだ
そうした人たちは
どちらかと言えば細胞の同調性が高いのでうつになる確率が高くなるわけだ
過度の同調性を和らげることはとてもいいことだと思う
波はより複雑なブレンドになるはずである
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そのように、人間の体に埋め込まれているいくつものリズムを想定しながら
それぞれを整えつつ治療をすすめる
太陽に当たることは大切な項目であり
出来れば午前中に散歩に出て陽の光を浴びてくださいとお願いしている
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メラトニンリズムも大切で
その点ではメラトニン系の薬を使うこともある
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血圧、血糖、脈拍、体温など簡単に一日のリズムを測定出来るものもある
女性は妊娠して出産準備に入ると何だか一段強くなる
そのひとつの要因は
産科に通って血圧、血糖、脈拍、体温などを指標として社会リズムを是正しているからではないかと考えている
母子手帳に書いてあるような細々としたことが役に立つ
うつ手帳も躁うつ手帳もそのようなものでありたい
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不眠症は最も端的にリズム障害を表現している
眠れたらいい時に、なぜか眠れない
眠ってはいけないときに、なぜか眠くなってしまう
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血縁のお年寄りの生活を見れば参考になると思う
何を食べているか
どのような生活習慣があるか
どのようなリズムで生きているか
血縁者は自分に類似のDNAを持って生きているのであるから
自分の場合にどのように生きたらうまくいくものなのか考える場合の参考になる
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異なる周期の波を重ね合わせて精妙に一定性を保つのが人体である
それを手助けするのが(私の言う)「社会リズム療法」である
複数の周期と振幅の異なる波の重ね合せの結果が生体であり
その最終的なリズムが成果とし人生に支障を来さないように
それぞれの波の成分を調整する
薬剤としては
リチウム、
バルプロ酸などてんかん系の薬
SSRIやSNRIなどのセロトニン、ノルアドレナリンの薬
ドパミン系の薬
などを調整するのであるが
調整の際にも生体内でのリズムを念頭において適切に調整する