アメリカ、妊娠女性のamphetamine乱用が増加

妊娠女性のamphetamine乱用が増加
Increasing Amphetamine Abuse Among Pregnant Women
2008 March 20
 
 妊娠中の薬物乱用は母親および乳児の有害アウトカムと関連しているが、amphetamine乱用による妊娠合併症についてはほとんど知られていない。CDC(Centers for Disease Control)の研究者は、米国の地域病院20%のサンプルのデータを用いて、妊娠女性のamphetamine乱用の傾向を検討し、またそのアウトカムをcocaine乱用のアウトカムと比較した。

1998~2004年、妊娠のための入院のうち推定36,000件にamphetamine乱用の診断が含まれ、130,000件にcocaine乱用の診断が含まれていた。この期間中、amphetamine乱用による入院は2倍になったが(出産100件あたり0.11件から0.22件)、cocaine乱用による入院は出産100件あたり0.74件から0.41件に減少した。cocaine乱用者の妊娠女性または薬物を乱用していない妊娠女性の入院と比較し、amphetamine乱用者は24歳未満の割合が高く、米国西部に居住している割合もより高かった。amphetamine乱用ではcocaine乱用よりも、農村部で妊娠入院する割合がより高かった。心血管障害、高血圧合併症、前置胎盤はamphetamine使用者により多く、早期産および胎児成長遅延はcocaine乱用者に多かった。

コメント:これらのデータは、amphetamine乱用のため入院した妊娠女性とcocaine乱用のため入院した妊娠女性との特徴および妊娠アウトカムの違いを明らかにしている。著者は、妊娠女性のamphetamine乱用が増加していることを考え、医療提供者は妊娠中の薬物乱用による合併症について熟知しておく必要があると強調している。

— Robert W. Rebar, MD

Published in Journal Watch General Medicine March 20, 2008

Citation(s):

Cox S et al. Hospitalizations with amphetamine abuse among pregnant women. Obstet Gynecol 2008 Feb; 111:341.
Original article (Subscription may be required)
Medline abstract (Free)
 
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ウィキペディアから引用すると、

アンフェタミン (amphetamine, alpha-methylphenethylamine) は合成覚醒剤の一種である。食欲低下や体重抑制、およびナルコレプシーや注意欠陥多動性障害 (ADHD) などの治療に用いられる。能率向上や娯楽目的での濫用は、ほとんどの国で違法とされる。

密造と濫用がヨーロッパ諸国で横行し、主にフェニルプロパノールアミンから合成した硫酸アンフェタミンの形で出回っている。さらに、アメリカ合衆国、イギリス、オーストラリア、カナダなどの国々ではナルコレプシーやADHDの治療に用いられるため、処方されたアンフェタミンが横流しされ、高校や大学で最も頻繁に濫用される薬剤の1つとなっている。

尿検査によってアンフェタミンの存在が確認できる。

実験医療には1920年代から使用され始めた。世界のほとんどの国々では、1920年代後期にベンゼドリン (Benzedrine®) が導入された。いくつかの国家で軍隊、特に空軍で、疲労を抑え警戒態勢を持続させるため整備士の間で用いられた。濫用が報告されてから数十年後、アメリカ食品医薬品局(FDA)は1959年にベンゼドリン吸入機を禁止してアンフェタミンの処方を制限したが、不法な使用が広まっていった。

日本では、ゼドリンの商標で武田薬品工業からアンフェタミン製剤が発売されていたが、現在では発売が中止されている。

日本以外の国々では、メチルフェニデート(リタリン®、コンセルタ®など)と共に、アンフェタミンはADHDの標準的な治療薬である。ADHD に対する有益な効果として、衝動の抑制力や集中力の増加、感覚器への過剰刺激や被刺激性の減少などが挙げられる。これらの効果は特に幼い子供に対しては時として劇的である。ADHD の治療薬・アデラルは4種のアンフェタミン塩からなり、アデラルXRは同じ塩の徐放性製剤版である。適切な用量を守って使えば食欲減退などの副作用は時間と共に軽くなっていく。しかしながらメチルフェニデートよりも体内に残留する時間が長く、食欲や睡眠に関する副作用は重い傾向がある。

また、ナルコレプシーなどの睡眠障害の治療薬としても標準的な薬剤であるが、やはり日本では認可されていない。一般的に、習慣性や身体依存を生じさせること無く、長期間にわたって効果を得ることができる。さらに、難治性の抗うつ治療に用いられることがある。

減量用途での利用を現在も認可している国もあるが、アメリカなどでは時代遅れで危険だと考えられている。

過去、アメリカ空軍はデキストロアンフェタミン(デキセドリン (Dexedrine®))をパイロットの刺激薬として使い、"go-pills" と呼んでいた。しかし、近年のモダフィニルなどアンパキン系薬剤の発展により、デキストロアンフェタミンによる妄想症や不快感を生じさせることなく警戒能力を維持することが可能になった。作戦後には、パイロットが眠れるようにするため "no-go pill" (ゾルピデムまたはテマゼパム) を与えた。

アンフェタミンは長距離トラックの運転手、建設業関係の労働者、工場作業員など、労働時間が長かったり不定期になりがちなシフト勤務者や、単調な反復作業を行う者の間でも広く使われている。このためアンフェタミンは時に「レッドネック・ドラッグ (redneck drug)」と呼ばれる(レッドネックとは首筋が赤く日焼けしている白人労働者を揶揄する卑語)。ホワイトカラーや学生もまた、長時間に及ぶ過密なスケジュールの間注意力を持続させるため、あるいは学習能力を向上させるためにアンフェタミンを使う。タイでは缶詰工場の労働者に対し生産性を上げる目的で強制的にアンフェタミンを投与した事例が報告されている。

1960年代から70年代のイギリスにおいても普及しており、モッズ文化において重要な役割を果たした。後にはパンクスによって夜通し踊り続けるために使われた。ビートルズも、デビュー前にハンブルクのクラブで夜通し演奏するためにアンフェタミンを服用していた。

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「アンフェタミン精神病 (amphetamine psychosis)」は統合失調症のモデルとして一時(といってもかなり昔だが)注目された。

いまだに、しかも米国で、しかも24歳未満の妊娠女性というので、気が遠くなる。