花匂ふ君がこころの夕暗のほのかに触れて身をあやまてり

花匂ふ君がこころの夕暗のほのかに触れて身をあやまてり
伊藤左千夫

この人も大先生と思うが
身をあやまてりなんていってみたくなるのだろうな。
見栄を張るみたいなものなのだろう。

だいたい短歌を作るような人たちがそんなにも
性的に優れているということも考えられず
女性の喜ぶようなあれこれを提供できるとも考えられず
そんな短歌の人たちがこんなにも
身をあやまてり
と歌っているところがいじらしい

大先生ともなれば
とりまきはたくさんいるもので
その中で性的関係も特に珍しくもないだろう

本人同士は文学的に盛り上がっているのかどうか知らないが
ありていにいえば手近なところで間に合わせているわけだ
恋愛というにもすこし色褪せている

ある集団がかなり退行していくとフリーセックス集団のようになってしまうことがある。
その中では、世間の性道徳と別の規範が通用するようになる。
本人たちはどのように考えているかしらないが、
実際は、要するに退行しているだけである。

充分に老人になると
過ちを起こす能力もなくなってくるので
至って安全な存在になる。
むっちり触れても何も起こらない。