精神の自動運転

ただただ全てが面倒で

未来のことは何も考えつかず
桜を見ても昔の悲しい場面を思い出すばかりで
自分としてもどうしようもない
考えてみると生活の大半は自動化されていて
ハプニングというものもない
強迫性性格の人間は偶然の要素を排除したがるもので
何年もかけて自分の生活に偶然が入り込まないように
システムを作っている
そうなると精神は怠惰になり次第に自動運転ばかりするようになる
自動運転は自分に不都合のないように設定されているので
なるほどすべては円滑に進むのであるが
そうなると10年が一日のように過ぎる
思いがけない悲しいこともないが
思いがけない嬉しいこともない
そのように作っているからなのだが
味気ない気分もある
何かの欲望も
つまらない欲望であると
先回りして理解して解消する
それでは先細りだと考えて何かしたこともあったが
疲れるだけでいいこともないのでやめた
やめたら今度は全く何も起こらない
起こっているのだろうが感じない
妻を相手にいつも同じセックスをしている感じがする
全体として一秒の狂いもなく進行している感じがする
ーー
そんなわけで
ちょっと変えたいなと思って
何かしているのだが
結局誤解を招くばかりだった
誤解をよく考えてみると
たぶん埋めようのないもので
結局誤解したままで妥協するか
妥協しないとすれば決裂しかないようだ
ーー
たとえば洗面所の液体ハンドソープを十年ぶりに違う銘柄のものにした
少し新鮮
そんな程度の変更しかできない