君は自分があまりに美しいことを後悔してほしい

私は思うのだが

私が泣いていると同じくらい
君に泣いてほしい
もちろん、私が君を求めているほど君は私を求めていない
それは知っている
しかし君ゆえに私がどんなに大きな苦しみの石を背負っているか、君には分かるはずだ
自分があまりに魅力的で一人の男をダメにしてしまうなんて
どんなに悪いことか、君にも分かるはずだ
そのことのゆえに悲しんで欲しいし涙を流してほしい
私のためではなく
残酷すぎる自分の為に泣いてほしい
外では雨の音が続いている
いま世界は雨の底にいて
私は泣いている
君は自分があまりに美しいことを後悔してほしい
自責して泣いてほしい
君の言葉の一つひとつが私の一番深い部分を愛撫して通り過ぎた
そんなことはこれまでになかったし
これからもないだろう
そのような、ただひとつの思い出のために生きてゆく一人の男を憐れと思わないか
君のまなざしは私の一生に価する
捧げ尽くして悔いはない
そんなにまで言っているのに
君は言うのだ
手を握るまでが一番いい時ね
君は何も知らないのか
君はすべてを知っているのか
雨に煙る緑の道が静かに問いかけている