高校生

寺山修司を読み直している

『高校生』という言葉が浮き上がって見えていた
3月という季節のせいだろうか
冬が終り雪が溶けて乾いたアスファルトの上をはじめて走る春の日を
覚えている
これを忘れないだろうと思ったことを覚えている
それは卒業の季節であり別れの季節でもあった
いまから思い出してきれいな言葉で言えばそうなるのだけれど
私にとっては奇妙な時間であった
すでに遠い昔で記憶に錯誤が生じているのかもしれない
ーー
高校生
私の場合それは野蛮な挑戦の季節であった
ーー
高校生の頃、私の言葉は未熟だった
愛を語るには幼すぎた
女は意外なくらい成熟していて、この人は特別なのだと思ったものだ
公平に見て、私が未熟なだけだった
すでに言葉というものの使用法がはるかに遠く異なっていたのだと思う
真実を語る言葉
他人の心を操作する言葉
ーー
このスタートでの差はずっとついてまわり
私はずっと何周か遅れで愛を生きているのだろう