ブリキの太鼓が腑に落ちる夜

文学作品も読む頃合いというものがある

年とってニーチェを読むのはつらいかもしれない
若い頃にはいいように思う

「ブリキの太鼓」という有名だが変な設定の話があって、
成長を止めた男の子が半ズボンをはいて太鼓をたたいて変な感じの映画もあって
どうしてこんな変な設定をするのか
説明を聞くと分かるけれど
それでも変なものだなあとずっと思っていた

今日、月がとってもきれいで空気が冴え冴えとしている
電車に乗ると学生服を着て茶髪、しかも長髪、なんだかがっしりしていて、顔がとてつもなく大きい
そんな人がいて
ああ、この電車に成長を止めて、青い半ズボンに青いシャツで、
ブリキの太鼓をたたき、時々奇声を発して、ガラスを破る
そんなおじさんが乗っていてもぴったりだと思った

こんなにも悪い報道ばかりで
心理的配置も悪く
地球は破滅しそうで
日本語は廃棄寸前で
そんな気分の時に
ぴったりの文学や音楽があるものなのだと思った