Panalion

もともとは
panarion をタイトルにしようと思った
古い言葉で 薬箱 のこと
薬籠中のもの なんていうときの 薬籠 という訳語が使われる

*****
必要のない注釈であるが気が向いたので書き留めておく
昔々、キリスト教世界では異端派との抗争が盛んであった。
聖書にもいろいろと難癖をつけられる点はあるので
それをあれこれと言い立てて騒ぐ異端派の弾圧には
かなりの力をさいていたようだ。
正統派に対して、主に納得できない点は、
善なる神が善なる世界を創造したのに
どうしてこの世にはこんなにも不幸や悪が多いのかという点である。
たいていは、そのうち報われる、神様はすべてを見ている、と言い、
それで足りなければ、あの世で報われると言うわけだ。
不治の病で死んでゆくのも神のお考えであり
生まれたばかりの無垢の子どもがむごい死を与えられるのも
神の摂理だなどと言うに至っては
やはり今ひとつ説得力がなくなる。
そこでグノーシス派などの異端派が
いろいろな説を展開する。
極端なものは、この世界は、悪の神が作った悪の世界で、
善なる神は、この世界とは全く関係なく存在している、などと主張したりする。
また、世界の不幸は肉体と物質の不幸であって、魂は善であるとする。
すると、肉体と物質は徹底的に抑圧すべきだという禁欲派も発生し、
一方で、魂の善と物質や肉体は関係ないのだから、
物質と肉体は自由に快楽を求めてもいいのだという派閥も出現した。
よい子にそんな説を聞かせて、
この世界はどんなことでも許されているんだと誤解したり、
快楽にふけってもいいんだと勘違いしたりするといけないので、弾圧する。
主張者を殺し、著作は燃やし尽くす。
だから、正確なところ、異端者がどんな主張をしたのか、
現在では正確な全体像を知ることはできない。
しかしながら、キリスト教正統派は、異端を攻撃するための文書を大量に残しており、
攻撃して否定する際には、異端者が何を主張していたかを述べる必要があった。
そこで、異端攻撃文書を研究すれば、異端派の教義の内容が分かることになる。
正統派はそのようにして異端派を文献の中に保存してしまったのである。
そのような、異端から魂を守るための正統派の本のひとつが、
panarion 「薬籠」である。
異端という毒蛇に噛まれたときに、
素早くつける常備薬といった意味である。
そんな背景があって、
panarionとは、私の場合、間違った教えに対して、それを訂正する正しい考えを
用意した薬箱という意味である。
*****
しかしそれでは何とも大げさな名前をつけたようで申し訳がないし
私は日本耳だからrとlの区別なんかつかないわけで
スペルミスをしてpanalionとすることに決めた

そうすると、pana+lionみたいになり、

この子はライオンじゃないけれど、ちょっと喜ぶかと思った

この子はso-netを使っていることでも分かるように
sonyの方が好きなので、
sonalion のほうがいいと駄々をこねたが、
一応納得した

本名はpanalionで ペンネームを sonalion ソナリオン にするそうだ。
そういえば、命名というものは、自分では名前を選べない、
親の独占的権力であり、それはおかしな制度であると、
うすうす気付いているらしい。
自分の名前を親が決めるなんてなあ。

そういえば、panasonic はpan+sonicで「至る所に音」の意味になる

ドラエモンなら「どこでも音楽」である。

*****
また、panasonic を少し無理にpan+a+sonic で解釈すれば、汎+欠如+音ということになる
広汎性静寂で、これは禅みたいだ
本当はpan+electron で 造語すればよかったのにね
panele なら パネーレ で エレガントでいいなあ

*****
薬の名前は紛らわしいのが多くてみんな困っている
新薬はまだしも、ジェネリックを含めると、電子カルテで検索してもややこしいこと限りない

ーーーーー
カトリックの異端排撃を観察すると
排除や隠蔽が結局は問題そのものの永久保存になっている皮肉を感じる
それは見事なもので
グノーシス派の完全勝利だと私は思う

カトリックが永続する限りグノーシスは保存され続け
グノーシスの勝利の音は鳴り続ける

主体はそれを排除するのに
排除のゆえに浮き彫りになる

誰が見ても明白なくらい
自分は隠蔽しているつもりなのだろうか
それとも見て欲しいのだろうか
非常に疑わしいとも思われる不思議な光景である

なぜそのような隠蔽をするのかも分からない
完全無視を続けて
自己の完全性だけを言い続ければカトリックとしてはそれで良かったはず
なぜ躍起になって批判しそんなものを記録していたのか
グノーシスを記録しておきたかったからという
隠蔽された欲望があったとしか思えないのだ
ここでは隠蔽が二重に適用されていて
大変に微妙である