読書離れは実は中高年らしい

若手は意外にすごい。梶原 しげる さんが紹介している。
文芸評論家の斎藤美奈子さんはある雑誌で「若者の活字離れというけどそんな統計は見当たらない。むしろ日本人は年齢が上がるほど読書をしなくなる。若い世代の読書量は近年むしろ増えている。憂慮すべきは中高年だ」と、毎日新聞の世論調査を引用して「俗説」をきっちり否定している。 
まず新聞については、20代の若者は「読む派」が約54%と半分強。30代から「読む派」がグンと増え、40~60代は85%と大半が「読む派」だ。オジサンの圧勝である。 
 しかしウェブニュースとなると、若者世代の半分は読んでいるのに、逆に50、60代は読まないが7~8割。携帯電話に特化したデータはないが、もし「携帯電話でニュースに接触しているか」の項目があったら、若者世代が圧倒的にオジサン世代を凌駕していることは想像に難くない。 
 雑誌では、20代の若者の65.2%が「読む」と答えているのに対し、40代は「読む派」が5割を下回り、まだまだ働き盛りと自負する50代がなんと41%。要するに「若者が活字を読まない」と断定することは間違いである
 今をときめく若い芸人さんたちはしゃべること以上に、本や映画、DVDから情報を仕込み、出会った人との会話、巡り合わせた出来事を子細に観察し、それをネタに仕上げることに努力を惜しまない。 
 メディアが今ほど発達していなかった頃なら、同じネタを違った場所で使い回すことができたのかもしれない。ところが今は、いったんテレビで披露したら、次は別のエピソードを語らないとアッという間に飽きられる。 
 したがって、彼らは常にネタ帳を携帯し、暇さえあればメモをする。楽屋での待ち時間など、多少なりともまとまった時間のある時に「受ける話」「すべらない話」のストックを積み上げていく。ブログの更新も欠かさないから、書く量はわれわれが想像する以上に膨大だ。「量」が自然と「質」を高める。 
 政治家や学者に食らいつき、時には論破する爆笑問題の太田光の半端じゃない読書量。劇団ひとりが描くエッセーや小説にほとばしる才能。品川庄司の品川祐のブログから小説、漫画、映画とエネルギッシュな創作意欲--。これら芸人さんたちは、絶え間ない努力の結果、才能を開花させている。 
 「今どきの若者は…」と悪いところを探し出し、飲み屋でくだを巻くのはオジサンのストレス解消として許してもらおう。しかし、ビジネスの場面では、素直に彼らの優れた点を認め、あわよくばその技を盗み取ってやるぐらいの貪欲さを見せた方が断然に得だ。