雇用問題 免責構造

新聞でもテレビでも雇用問題についてあれこれ

失業した人が無権利状態で放り出されることが問題とのことだ
国がきちんと教育すれば立派な労働力になるとの話である
オランダのように

昔ならば建設業の現場で無駄な道路を造ったりしていたものだろう
それが細ってきたので自動車工場を首になったら困ってしまうらしい

ある人によればそれは行政の問題ではなく
景気循環に伴って起こる当然の事態なので
本質的には次の経済成長に向けて作戦を立て
その方向に労働力を吸収していかなければならないのだが
次の成長戦略が何であるかが問題なのだという

いたずらに行政が企業に雇用対策を押しつけていれば
景気循環で起こるはずの
産業構造の転換が遅れるだけで
みんながもっとひどい目に遭うと警告されている

経営判断と弱者救済の話は区別して考えないといけない

現在人が足りないのは介護、ビルメンテ、警備などとのことだ
コンビニなどでももっと雇いたいとの意見が出ていた

人材と言っても欲しい人材と在る人材に食い違いがあるのかもしれない

人が足りないのにその分野に就職しないのは給料が安すぎるからだそうだ

セイフティネットが壊れているのだと言われている

雇用保険や職業訓練、職業斡旋などのことらしい

失業者が増えてくると社会の安全が脅かされる
自殺者も増えるかもしれない

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伝統的な意味で言うセイフティーネットは、まず家族だった
とりあえず家族がいれば住む場所と食べ物は何とかなるイメージがある
報道に接する限りでは家族はセイフティーネットとして機能していないらしい

なかなか残酷な状況である

次には職場の同僚である
同じ仕事をしていた人たちがひどい目にあって平気なはずはない
次は我が身である
労働組合と言わないまでも
職場の周りの人たちがいろいろなことができるのだからそれが次のセイフティーネットだ
しかしそれも働かない

ワークシェアリングで労働単価を下げてもシェアすればいいという考えと
同じワークシェアリングで労働単価を維持したままでシェアリングすればいいとの考えがあるらしく
どちらも現実には難しく
自分たちで進んでやるというならば実現するが
誰かに強制されてやるのは難しいだろうと思う

リストラは正社員に及ぶ可能性もあるわけだから非正規職員との連帯は分断されている

新聞で経営者たるもの従業員の生活を守れとの意見もある
それはもちろんいいことだけれど
威勢がいいだけではどうにもならない

現実は理想主義者を幻滅させる要素に満ちている
利他主義者の熱い心も
そのうち絶対零度にまで冷却されてしまう
そんな場面もあるのだ

最終的なセイフティーネットは行政ということになる
もっとも非効率的なセイフティーネット
これだから無駄がなくならない
役人は太り、役人に何かをさせるための人たちがまた太る

セイフティーネットとといえば一番は自分だ
自分が万一の時に備えて家族にも親切にするし友人にも親切にするということだろうが
そのことはいま言っても仕方がない

たとえば知的障害者とか身体障害者は長い間の人間関係の中で大切にされていて信頼されている
その人を世話することが周囲の人の生き甲斐になっている
それは障害者自身が危機感を持っていてセイフティーネットを自分なりに構築しているのだとも言える

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困っている人がいる
住む場所もないし当面の食費もない
家族はその人のために金を出さない
友人もその人のために金を出さない
労働組合はその人のために仕事を提供しない
会社は生産計画に従って雇用調整する
介護、ビルメンテ、警備では低賃金でもよければ働いてくださいといっている
行政に対してのアピールは専門の人たちがいてその人たちの指揮の下に行動する
その人たちの判断でとりあえず日比谷公園で年越しをする

日比谷公園で年越しをするのだから
家族も友人も同僚も免責されるのだ

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当面困っている人を救い
企業には将来に向けて準備をしてもらう
二つを分けて考えようと言われている