Out of place

はるかに時間がたってしまった
気がつくのが遅かった
あっという間だったな
この世のことどもは

新幹線で名古屋まで行く
寝るには長い
本を読むには短い
考えを進めるには老化が進んでいる
メモをしようにも固有名詞が出てこない

一眠りして気がついたら
もうこんなに時間がたって景色が変わっている
そんな気分だ

あんなにタバコ好きだった人が
ある日やめた
ショートピースを缶で買っていたのに
あんなに音楽好きだった人が
ある日聞かなくなった
あんなにもテープを繰り返していたのに

あの日のあの時間は何だったのだろう
無駄だったというべきか
無駄以外の何と名づけられるのか

過ぎ去るためだけに生きてきた
もうすぐ虚しささえも感じなくなるだろう

Out of place

道の真ん中は危ない
広場の真ん中は危ない

だからといってどこを歩けば本当の人生がある
危ないことさえ退屈だ

Out of place

ふさわしくないところで
自分を発見したい
もっとずれていたい
不協和音は無限である

Out of place

他界した人たちを恋しく思う
あるべきところから外れたい
もっと激しくさまよいたい

迷うべきではない場所で迷いたい
重力にめまいを感じたい
今のわたしは慣れすぎている