最近の新聞でも月刊誌でも論壇を眺めていると
脱思想であり経済学化の進行を強く感じる
経済学化の体裁を取ってはいるものの
内容としては究極的には価値判断の問題でしかない場合が多く
思想論争の焼き直しであることが多いと感じている
機会の平等か結果の平等かという論点
貧富の固定化の論点
教育機会の固定化の論点
どれもかつての思想的な論点であり、現在は経済学の言葉で語られているだけである
本来ならばゲゼルの貨幣のような新しい視点からの制度を
経済に組み込んで
現在顕著になっている矛盾を訂正できないか考えるべきなのだろうが
社会主義的な制度論の行き詰まりが決定的に否定的に作用していて
頭のいい新しい提案は少なく
むしろ単純な経済学の原則を言い出すと誰も反論でなくなるのが現状のようである
しかし原則から一歩踏み出して経済学を論じると
どのノーベル賞学者も妥協はないらしく
話はまとまらない
似たような状況としては
無神論と有神論の話がある
神がないならば倫理の根本は危うい、神がないならば人を殺して何が悪いとする
極端な理論で、
人倫のすべてが神の存在に由来するとは考えないけれども
理論的には神の存在から演繹する思考が強力であり一理ある
経済学でいう、人間はインセンティブに反応するという大前提も
正しいには違いないがそれですべてを説明できるとも思えない
そうではあるが強力であり、論理としてはなかなか強い、
その点で無神論者の倫理破壊と似ているところがある
法律で禁止されている以外は許されているのではないかと議論されれば
その立場もあるだろうというしかない
現状としては、
経済学の初歩的なトリックに惑わされないために経済学を学ぶべきだし、
倫理の根本を知るために神について学ぶべきだろうと思う
バカなやつにだまされないようにするために
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私見を言えば
人間は隣人から搾取するにはためらいを覚えるが
遠くの誰かから抽象的な形で搾取するのは痛みを感じない生き物である
逆に言えば、隣人に搾取されていれば怒るのだが
遠くの誰かに抽象的に搾取されている場合には怒らない
そんな生き物である