新平家物語で
時忠と九郎が取引をして
時忠は九郎をいったん逃がすのだが
そこを弁慶に狙わせる。
平家の中にも九郎を生かしておくなという意見も強い。
しかしそんなことをしたら洛中の治安が保てない。
治安のためには生かして帰した方がいい。
ところが平家の三代目たちにはプライドがあり、なかなか気持ちが治まらない。
そこで時忠は、いったんは九郎を釈放するものの、弁慶に命じて暗殺させて、首を取る作戦に出た。
そうすれば、三代目のボンボンたちも納得すると算段した。
その場面である。
ここでは、後に義経の致命傷の一つになる、義経と時忠の娘である夕花との出会いがあり、
静との再会があり、盛りだくさんである。
何より、義経と弁慶が出会う。
宴会の席で時忠は
「……三代目だ、これが、平家の」との思いで、集まった諸氏を見ている。
「何の苦節、何の忍辱、何の貧しさも知らずに育ってきた入道相国の孫やら甥やらだ。誇りと、奢りだけは、相国よりも強い。そして治安の難しさなどは、何も、わきまへはない。」
内心、困ったものと考えているこの若い同族たちを、特に、こうして招いたのは、慰撫策といへ、
彼には、我慢であった。まるで、子どもの守を勤めるようなものだと思う。
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ここまで読んで、
これはぴったり現在の自民党森派・清和会の様子ではないかと思った。
森元総理が三代目たちの「守」を勤めているのである。
2009年2月5日の清和会総会で中川氏を降格、反発する諸氏を森氏がやっとなだめたと
報道記者は面白おかしく書いている。
森派は小泉、安倍、福田と二代目、三代目のプリンスを抱え、次々に総理とし、
我が世の春を誇ったものだが、中川氏は新しい旗を立てるとか言い出して、
今回は降格処分、派閥全体が「落日」と書き立てられている。