森鴎外「高瀬舟」

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 「人は病があると、この病が無かったらと思う。
  その日その日が食えないと、食って行けたらと思う。
  万一の時に備える蓄えがないと少しでも蓄えがあった
  らと思う。
  蓄えがあっても、その蓄えがもっと多かったらと思う。
  斯くの如くに先から先に考えて見れば、人はどこまで
  行っても踏み留まる事が出来るものやら分からない」
森鴎外の小説「高瀬舟」