青柳の糸より 胸の結ばれて もつれて解けぬ恋の謎

青柳の糸より 胸の結ばれて
もつれて解けぬ恋の謎
三日月ならぬ酔月の
うちの敷居も高くなり
女心のつきつめた
思案のほかの無分別
大川端へ流す浮名え
宮川曼魚・作詞 吉田草紙庵・作曲
「仮名屋小梅」明治物(昭和に入り「明治一代女」として大人気となった) 
明治二十年六月九日夜、浜町酔月楼の女将花井梅が、箱屋の峰吉を大川端で刺し殺した事件を劇化したもの。新橋で一枚看板の仮名屋小梅は、ひいきの銀之助や後に付き合う浜本への恋路を邪魔した兼吉を最後に刺し殺してしまう。
「青柳の~恋の謎」は、小梅が銀之助との恋のもつれから自暴自棄になって年下の男に入り揚げてゆく心境を、しだれ柳の枝がもつれて解けぬ様に見立てて唄ったもの。「三日月ならぬ」は、小梅の経営する「酔月」の枕言葉である。兼吉の策略により自分の家の敷居も高くなり、思いつめた末の女の決心を唄っている。
この小唄は新内調を入れて三味線の手もよく、大川端といえば必ず出される小唄である。