甲子園はナルシスト破壊装置だ

自己愛を訂正するには
少なくとも、「自分などうぬぼれている暇はない、
上には上がいるものだ」と思い知ることが第一だ

ガキ大将がガキ大将であるためには
真っ当に柔道などで強くならなければならない
中でも一番いいのは野球でエースで四番になることだ

というわけで全国にナルシスナルくんがいっぱいいて
ストレートを投げ込んでいる

甲子園はナルシストを一人に絞る装置である

負けた人は素直にナルシストを返上する

勝った一人だけナルシストでいてもいいことになっている

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野球は何とも理不尽なルールになっていて
ピッチャーの肩は消耗してしまう

職業選択をするなら
ピッチャーよりバッターがいいに決まっている

おかしなことにピッチャーであることにこだわる人種がいる
金にもならず危険が大きい
しかしそれでもピッチャーでいたいのはなぜか
当然、答えは一つ、ナルシズムである。

甲子園で勝ち残ったピッチャーの唯一の夢は
巨人のエース18番である
結局のところ桑田は勝ち続けた人生だったし
その裏にいた清原は負け続けた人生だった
悪い偶然があるものだ

しかし清原はそのせいでナルシズムの病が一段軽くなった
桑田は残念なことにナルシズムの病が一段重くなった

そのようにして甲子園という巨大な歯車が
すべての人の人生を飲み込んでゆく

泣いているね
ナルシズムに別れを告げてつらいのさ