義経いよいよ窮地に

新平家物語では壇ノ浦の戦勝のあと
あっけなく義経は窮地に立たされる

戦勝の悦びも充分には書かれていない
むしろ憂鬱な気分である

吉川英治の筆致としても
牛若丸が天狗党の中で飛び回っている頃がよかったと思う

後半になると
たしかに古来繰り返し描かれている名場面であるから
新味も出しにくいのかもしれないが
それにしても前半の筆の冴えがないように思う

八艘飛びの場面にしても余り鮮やかではない

安徳天皇を誰が抱いて入水したかも問題らしい
平家物語、吾妻物語などで違いがある
平家物語では二位の尼
吾妻物語では按察の局となっていて
いずれも実母の建礼門院ではない

ここから入水した安徳天皇はダミーではないかと疑われている