中国出生欠陥発生率上昇レポート

中国出生欠陥発生率上昇レポート抜粋。

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2007年1月11日に中国が発表した「国家人口発展戦略研究報告」によれば、中国では毎年80万~120万人の先天性障害児が生まれており、これは新生児総数(約2000万人)の4~6%を占めているという。現在の数字はもっと増大しているものと思われる。

「中国婦幼衛生監測ネット」のモニタリング結果でも、2001~2006年の全国における“出生欠陥”の発生率は、出産1万件当たりで104.9、111.2、129.8、128.4、139、145.5と急激に上昇している。年間に120万人の先天性障害児が出生しているということは、ほぼ30秒ごとに1人の先天性障害児が出生していることを意味するが、その間隔は年をおうごとに短くなっている。

 中国には2006年4月1日時点で身体障害者が8296万(全人口の6.34%)いるが、このうち先天的原因によるものが20%前後(1600万~1700万人)を占めているという。ちなみに、この先天性障害児120万人の内訳は、先天性心臓病20万人、神経管奇形(無脳症、二分脊椎、水頭症など)10万人、口唇裂5万人、ダウン症3万人などとなっている。

 「国家婦幼保健センター」の専門家の言葉を引用して“出生欠陥発生率が上昇した主要な原因は環境汚染、不健康な生活方式及び高年齢出産である”という記事を掲載したと報じている。

中国最大の汚染源は石炭焚の発電所で、大気中に有毒な水銀を大量に排出する。水銀は非常に容易に母親の血液から胎児の体内へ入り込む。これとは別に、大気中の水銀は河川にも流入する。中国人は大気、水源、農作物などから有害な水銀やその他の汚染物を吸収しているので、胎児や既に出生した子供に限らず成人も含めた誰もが被害を受けている。

2004年12月7日付の新聞「南京晨報」は、2004年1~11月において先天性障害児の出生率が以前に比べて増大しており、その主要原因は環境汚染で、とりわけ室内汚染に起因するものの増大が顕著であると報じた。南京大学現代分析中心の室内環境検査測定所が事務所や住宅など300カ所を測定した結果、室内のホルムアルデヒドが基準値を超えたものが90%、ベンゼンを含む揮発性有機化合物(VOC)の基準値超過が85%、ラドンや石材、磁器の放射性が基準値超過あるいは安全値に近いものが10%を占めていた。このような生活の中に潜む“危険要素”も胎児にとっては先天的欠陥の発生をもたらすものである。

 これら有害物質を含む建材なども生活水準の向上に伴い増大したものだが、利益至上主義で基準値超過を一顧だにせず、健康被害をもたらす製品を製造する業者がいかに多いかが、ホルムアルデヒドやVOCの基準値超過比率の異常な高さに表れている。

2007年7月2日付の英紙「フィナンシャル・タイムズ」は、2007年3月に世界銀行が発表した中国環境汚染問題研究報告書「中国環境汚染の損失」の内容の3分の2以上が、社会不安を引き起こすことを危惧した中国当局の圧力で公表されなかったことをすっぱ抜いた。同報告書は、大気汚染・水汚染によって中国にもたらされる経済損失は毎年1000億ドル相当で、中国の国内総生産(GDP)の約5.8%を占めることを明示したものであった。

 同記事には公開されなかった内容には次の項目が含まれているとしているが、筆者にはこれらの数字もかなり過小なものに思える:

[1] 中国では大気汚染・水汚染で毎年75万人が非正常な形で早死にしていると推定される。
[2] 都市の大気汚染によって毎年約39万4000人が早死にしているし、石炭及び食用油による室内の空気汚染で毎年約30万人がそれぞれ早死にしている。
[3] 農村地区では水汚染によって年間約6万6000人が下痢、胃ガン、肝臓ガン及び膀胱ガンで死亡している。

2006年7月18日、国家環境保護総局の周生賢局長は完全な調査結果ではないという前提の下、中国では約1000万ヘクタールの耕作地の土壌が汚染されており、さらに汚染された水で灌漑されている耕作地が216万7000ヘクタール、固形廃棄物放置場所や放置された耕作地が13万3000ヘクタールあり、これらの合計は耕作地総面積の10分の1以上を占め、主として経済発展地区に集中していることを明らかにした。

 汚染物質には、銅、水銀、クロム、カドミウム、鉛などの重金属及び放射線元素や砒素、フッ素化合物などの無機物と、各種農薬やフェノール類、青酸化合物、石油類などの有機物があり、これらによる土壌汚染の被害は甚大なものとなっている。
全国で毎年重金属により汚染される食糧は1200万トンに上り、直接的経済損失は200億元(約3000億円)を超えていると推計されるという。

土壌汚染は農作物中に有害物質を蓄積せしめ、食物連鎖を通じて人体に入って各種の疾患をもたらすのみならず、胎児に出生欠陥を惹起して先天性障害児を増大させる。人命に多大な影響を及ぼす重大な問題であるにもかかわらず、中国ではいまだに土壌汚染防止に関わる法律が整備されておらず、国民の土壌汚染に対する認識は極めて低い。従い、大気汚染、水汚染といった目に見える環境汚染に対する関心はますます高いものとなっているが、目に見えない土壌汚染に焦点が当たることは、その蓄積が徐々に深刻化する被害実態とは裏腹に依然として少ない。

 先天性奇形は人間にとどまらず、動物にも現れているが、中国ではそれが特に顕著なものとなりつつあるように思われる。最近の例を挙げると以下の通りである:
[1] 江蘇省連雲港市で、2007年3月に6本足の子豚が生まれたが、その翌月の4月には4本足のヒヨコが生まれている。
[2] 2007年5月、天津市河東区で透明なカエルが見つかる。
[3] 2007年6月、背中に天使の羽のような大きな突起がある“天使猫”が陝西省及び四川省で発見されたと報じられた。同様の猫は2005年6月にも河南省で発見されている。写真で見る限りでは、羽状の突起がある以外は普通の猫と何ら変わりない。
[4] 2007年10月、重慶市九龍坡区楊家坪で6本足の牛蛙が見つかる。形状は右前足が1本、左前足が3本、後足が左右各1本の合計6本。

(北村豊=住友商事総合研究所 中国専任シニアアナリスト)

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このほかにも、環境汚染レポート。
政治の北朝鮮化、経済のラテンアメリカ化が言われている。
経済は、ラテンアメリカ諸国のようになりつつある。

すなわち、ラテンアメリカ諸国は、1980年代、90年代に低廉な労働力を武器として積極的に外資導入を行って経済発展を遂げたが、その後の賃金上昇により多くの多国籍企業が低廉な労働力を求めて国外へ移転したことで、金融危機や経済の衰退を招来した。今の中国はこうした状況に近づきつつある。

とのレポートである。実際は、ラテンアメリカ諸国とはかなり違うとも思うが。
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資本主義の世界的展開は、必然的に、こうした展開になるだろう。
医療の問題、物価上昇、とくに不動産価格、食肉価格、マスコミ規制の強化。
年寄りが心配しても仕方のないことであるが、どうしたものだろう。