アルツハイマー病の発生機序の意外なねじれ

アルツハイマー病の発生機序の意外なねじれ
Surprising Twist in Pathogenesis of Alzheimer Disease
可溶性アミロイドβペプチド断片がアルツハイマー病の発症に深くかかわっていることは、最初にこの関連性が1990年に報告されたときには議論があったが(Journal Watch Nov 2 1990)、現在大部分の人がこれを受け入れている。げっ歯類では、アミロイドβがニューロンに入ると、樹状突起数が減少し、記憶を障害する。プリオン(核酸なしに増殖する蛋白質)はヒトを含む多くの哺乳動物において神経変性を起こすという理論についても、最初に提唱されたときには大きな議論を呼んだが、現在では広く受け入れられている。プリオンは健全な蛋白質(PrPC)を変形させ、それを病的蛋白質に変換することによってニューロンを破壊する。正常なPrPCはニューロン受容体である。
Yaleの研究チームは、発症の最初の段階であるアミロイドβを細胞内に入らせる受容体を探した。彼らにとって意外なことに、PrPCが重要なアミロイドβ受容体として同定された。その根拠は、第1に、遺伝子操作によってPrPCを持たなくなったマウスでは、アミロイドβは神経毒性を示さなかったことと、第2に、PrPCを有するマウスでは、PrPCへのアミロイドβの付着を阻害する抗体によっても神経毒性が抑えられたことであった。

Anthony L. Komaroff, MD
Published in Journal Watch General Medicine March 12, 2009