軍隊長様

夫は会社では非常に精密な仕事のリーダーをしている
彼の指令で軍隊みたいに動く
夫にはそれが当たり前になっている

家に帰ってくると
軍隊みたいな精密さはなくなってしまう
子どもは言うことを聞かないし
料理している間に電話がかかってきて少し遅れたりもする

家庭って
そんなものでしょう?

でも、それでも、彼が好きだから、いいけれど。

彼は変わってしまった。
長い間彼のそばにいる人の話を聞いても
やはり彼は変わってしまったと言っている

もちろん立場が人を作るので彼は現在の立場に合わせて適応しているのだと思う
でもわたしは適応しきれない
そのことをわかって欲しい

足手まといかもしれないし
邪魔かもしれないのだけれど
立場が変わって時間がたてば
わたしは妻としてご用済みなのだろうか

そんなばかな
こんな終わりを迎えるために
すべてを生きてきたとでも言うのだろうか

アメリカにいるうちはよかった
つきあいもあまりなかったから
家に帰って食事をして
その分、話をする時間もあった
いまはもうそうではない

ゴルフをする時間はあっても
わたしと話をする時間はない

本当は優しい人だと知っている
その彼がこんなになってしまうのは組織というものの恐ろしさだと思う