過少睡眠時間は糖尿病リスクを高める

夜間の質のよい眠りが2型糖尿病発症リスクを低下させるとの知見が、米フロリダ州で開かれた米国心臓協会(AHA)の心血管疾患疫学・予防会議で発表された。週の労働日(work week)に年間1晩あたり平均6時間未満の睡眠しかとっていない人では、6-8時間の睡眠を取っている人に比べ、2型糖尿病発症リスクが5倍近く高くなっていたという。
対象は、Western New York Health Studyで6年間の睡眠習慣を追跡した1,455例。追跡開始時の睡眠時間が空腹時血糖に与える影響について、コホート内症例対照研究で検討した。
追跡開始時に空腹時血糖値が100 mg/dL未満だったにもかかわらず、6年後に100mg/dL以上125 mg/dL以下へと上昇していたのは91例。この91例と、100 mg/dL未満の血糖値を6年間維持し、かつ性別・人種・研究参加時期も一致する群を1対3の割合(91対273)で比較対照として分析した。
睡眠時間は、自己申告に基づいて、週日の睡眠時間が1)6時間未満の短時間群、2)8時間以上の長時間群、3)6-8時間の中程度群―に分類。年齢、ボディ・マス・インデックス(BMI)、血糖値、インスリン濃度、心拍数、高血圧、糖尿病の家族歴、うつ症状などの各因子で調整後、短時間群では、中程度群に比べ、空腹時血糖異常(IFG)を来すリスクが4.56倍高いことが判明した。中程度群と長時間群とでは空腹時血糖値に有意差は認められなかった。
また、過去の研究で指摘されているような睡眠不良につながる遺伝的素因は確認できず、むしろホルモンや神経系統の影響が関係していると考えられたという。
筆頭執筆者で、米ニューヨーク州立大学バッファロー校研究助教授のLisa Rafalson氏は「不適切な睡眠と健康への有害作用の関連を裏付ける結果である。睡眠は、生活サイクルを通じた在宅健康指導の一環として、臨床現場で評価していく必要がある。睡眠と疾患という複雑な分野の研究がさらに進展することを望む」と述べている。