暴力ポルノとネット社会

最近では女性に対する暴力を含むポルノが過激化していると言われている。
それが女性に対する暴力や性犯罪を促しているのではないかと懸念されている。

米国では次のような研究がある。
男性被験者に
1.女性に対する暴力を含むポルノ
2.暴力を含まないポルノ
3.中性的な動画映像
の三種のいずれかを視聴してもらう。
ここからが実験とはいえすごいのだが、
男性や女性に対して電気ショックを与える機会を与え、
被験者がどれだけのショックを与えようとするかを調べた。
電気ショックの量を比較して、暴力ポルノの視聴が
女性に対する攻撃的行動を促すかどうかを検討した。

明らかになったことは、
1.暴力ポルノの視聴は、女性に対する攻撃行動を増加させうる。
2.男性が女性に与える性暴力を、最終的には女性が好意的に受け入れてしまう内容である。
などであり、
結局、性暴力を肯定する価値観を男性に持たせ、性犯罪の発生を促す恐れがあると指摘された。

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近年では次のような傾向が指摘されている。
1.テレビゲームなどのメディアは表現能力が飛躍的に向上していて、強い影響を与える。
2.インターネットの普及で、子どもがポルノに接する機会が増えている。
3.インターネットでは情報発信のチェックが甘いため、レイプ神話を促すなどの反社会的なものが出やすい。レイプ神話とは女性は実はレイプされたがっているというばかげた信念のこと。
4.テレビゲームなど双方向的なメディアが普及している。双方向性は内容の学習性を高めるかもしれない。たとえば、テレビでは、せいぜい、登場人物の性暴力が肯定されるに過ぎないが、テレビゲームでは視聴者自身の擬似的な性暴力が肯定されることになるかもしれない。

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心理学では計量化が一大目標であり、
この例では質問紙みたいなものではなくて、
ダイレクトに数値で出るものを使っていて、
心理学では少し昔からある手法であるが、
そもそも被験者にその後どのような影響が残るのかも心配なくらいの手法である。