これがゴールド・リーフというバラなんですが
その人は
「君はバラより美しいなんて言われてもうれしくないの」
「君はゴールド・リーフみたいに美しいよと言ってくれたらうれしい」
「君はバラより美しいなんて言われてもうれしくないの」
「君はゴールド・リーフみたいに美しいよと言ってくれたらうれしい」
と語る
えー、そうかな、と思うわけで
でも、言われる方がそう受け取るなら、それも大事だ
だから参考にする
しかし言う方の気持ちもそこに嘘はないのであって
どれと言うこともないけれどバラは全体に美しくてどうしようもない魅力でわたしを惹きつけるのだが
その全体以上に
君には惹きつけられているという気持ちになることがあって
最近は全然ないけれど多分40年くらい前の若い頃には確かにあって
その頃の気持ちを言葉にすれば
君はバラより美しい
ということなのだ
言われてみればきちんと心理を分析的に見ていないし
美しさの比較ということが実際何を意味しているのか不安定なところがある
たとえば「あなたはビタミンCの粉よりもワイルドだわ」と言われてもよく分からない
そんな感じなのだろうか
それはあんまりとしても
「あなたはブラウンの目覚まし時計みたいにセクシーよ」と言われたとして
意味は分かりそうな気もするが
何を言っているんだと思う
「あなたは野生のライオンよりもどう猛だわ」といわれて
「あなたは野生のライオンよりもどう猛だわ」といわれて
納得するはずもない
気持ちとして、
「君はゴールド・リーフと同じくらい美しい」と語るのはやはりためらいがある
同じくらいと言うと何だか冷静に比較しているし
「同じ」というのは無意味なような気がする
「バラより美しい」というなら
語る人の錯乱を表現していると言えるのではないか?
そのように錯乱させている自分を自覚できるのではないか?
バラとあなたを比較すると
バラの美しさはせいぜい三次元程度で
あなたの魅力は100次元くらいです
というようにいえば
すこしは正確かも知れない
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買い物に行って花屋さんがあったのでバラを眺めてみるとはやり美しい
君はバラより美しいというのは嘘だと思う
君はバラの仲間ではありませんか
というくらいなら嘘ではないかも知れない