ナルコレプシーは自己免疫疾患

ナルコレプシーは自己免疫疾患
米スタンフォード大学(カリフォルニア州)の研究者らによれば、睡眠障害であるナルコレプシー(睡眠発作)が、実は自己免疫疾患であることが判明したという。
今回の知見は、身体を疾患から守る際に重要な働きをする2つの遺伝子の突然変異とナルコレプシーとを関連づけたもの。研究者らは、これら2つの変異体がヒポクレチン(hypocretin)に対する共謀者のようなものだという。ヒポクレチンは覚醒を促進するホルモンで、ナルコレプシー患者では欠乏している。
ナルコレプシーは、日中に短時間だが突然、睡眠に陥るような過度の嗜眠状態を引き起こす。2,000人に約1人に認められ、夜間の睡眠パターン障害やカタプレキシー(脱力発作)が起きることもある。
同大学ナルコレプシーセンター所長のEmmanuel Mignot博士らは今回、免疫系が身体を守るために排除すべき異物を特定する際に有用なヒト白血球抗原(HLA)の変異体を持つ1,800人を対象に、遺伝子検査を実施した。HLA変異体とナルコレプシーとの関連はこれまでの研究で示されている。
研究の結果、ナルコレプシー患者はいずれもT細胞に関連する突然変異遺伝子を持つことが判明した。T細胞は身体のすべての免疫反応に不可欠なものである。研究結果は、科学誌「Nature Genetics」オンライン版に5月3日掲載された。
Mignot氏は「HLAとT細胞の変異体が相互に作用してヒポクレチン細胞を死滅させる可能性が高い。直接的な証拠はないが、今回の発見は、ナルコレプシーが明らかに自己免疫疾患であることを示すものである。今後、この2つの突然変異が同時に作用することが明らかになれば、ナルコレプシーの素因のある人を特定し、その発現を予防する方法を見つけられる可能性がある」と述べている。
米国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)のMerrill Mitler氏は「これは非常に重要な知見である。自己免疫攻撃による、遺伝子変異とヒポクレチンを含むニューロンとを関連づける機序が示された」と述べている。
[2009年5月4日/HealthDayNews]