この電話が最後かも知れない
他人事に思える
引き延ばすのはわたし
何に負けたか
分からないのが悔しいだけ
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その頃、家の電話は居間にあって
家族に聞かれてしまったものだ
手紙を出しても家族に見られているはずだ
だから自分の家から出て公衆電話からかける
受け取るあなたのそばには家族がいるのだと承知しながら
でもわたしはひとりで外の公衆電話に出かけてあなたに電話をする
それは愛のしぐさに満ちて
愛の決意に満ちて
愛を生きる女にふさわしい行動だった