あなたの過去を全部知りたいのもわたしの愛情だと信じて欲しいの。
あなたを理解するということは過去も含めてすべてを理解するということでしょう。
だから本当のことを話してみて欲しいの。
何を聞いたって動揺しないし、そのことで責めたりはしない。
あなたを本当に理解したいの。
何一つ隠さないで。
わたしはあなたの人生のパートナーなのよ。
そんな風にいわれて、
やはり理解されないままで暮らしていても意味がないと思い、
自分なりにすべては意味のあることで
わたしとしてはそこから大切なことも学び
そのようにして生きてきたと語ったものだ。
そして妻は叫ぶ
「許さない!」「そんなはしたないことをよく話せたわね!」
「過去のことを、うっとりして話すなんて、信じられない!非常識!」
「わたしはまだ優しい人なのよ、わたしの友達なんか、こんな話を聞いたらもう黙っていないわ!」
というわけで
小早川伸木の家庭は壊れてしまう。
公平に見て、伸木君に特別に悪いところはないと思う。
しかし多かれ少なかれ普通の女にはこんな所がある。
程度が過ぎれば病気だけれど、たいていは友人とか親戚、親がストッパーになる。
かわいい程度に収まっていれば、愛するあまりの嫉妬深さですむ。
ドラマを見ていると
伸木の妻はかなり孤独である。
孤独が原因でもあり結果でもあると思う。
人と普通程度に深く広く交わることの中で自分の感情をチューニングするものだ。
お年寄りになって孤独のままでいると認知症になりやすいとはよく言われるけれど
それと同じことがこの妻の場合には起こっている。
認知の点でも感情の点でも
誰も引き金を引いていないのに暴発している。
間違ってバージョン違いのOSをインストールされて
ネットにつないでいないので自動更新もなく
うっかり過ごしてしまったという感じだ。
理由もなく暴走して、自分も他人も疲れ果てる。
一人で生きるしかないだろうと思う。