わたしは小さな風景を語る。
個人的な風景だけを語る。
だって、本当は、世の中のことなんてどうだっていいんだもの。
知ったことじゃないし。
現実に目の前に現れれば苛立つこともあるのだけれど、
めったに見たりはしないわけだし、
一種隔離されているのだし、
大きな景色は新聞で読むだけだな。
大きな景色を大げさなこと場で語ると、結局は自分の言葉じゃないんだもの。
どっかで聞いたような、借り物の言葉を組み合わせているだけで、
そんなことなら誰でもできることだもの。
試験の模範答案を作るようなものだな。
それよりね、自分が、数年後に読み返してみて、
ああ、この頃はこんな風だったなあって、
時間の缶詰を開けるみたいに、
真空パックの包みを開けるみたいに、
そんな風な「現在真空パック」をしてみたいんです。
そういうコラージュをしてみたいんです。