ブリキの太鼓 オスカルのエディプス

ブリキの太鼓はいろいろな側面がある物語で難しくて
深く読解するにも手に余るのだが
エディプスの物語として読む人たちには
父の後妻と通じて子供を儲ける、このことでエディプス・コンプレックスを
満たしているという意見がある。

父の後妻と通じるのは源氏物語でも同様で
家族の中ではよく起こることの一つだったのだろう

源氏物語をエディパールな物語として解釈するのも一つの道だと思う。
父を乗り越えるために強くなったという形跡はあまりないのであるが。

*****
主人公オスカルは、叫ぶとガラスも割れてしまうという超能力を持っている。
それは幼児的全能感であり、3歳で成長を止めて、幼児的全能感を維持し、その中で暮らしている。
父を象徴的に抹殺して、自己愛の幻想の中で生きている。

戦後の我々一人一人がオスカルである。

あちこちで叫びを上げて自分たちの社会の土台を割り続けている。