セルフネグレクト

高齢者のセルフネグレクトあるいは虐待は死亡率を有意に増大
自棄|セルフネグレクト|虐待|高齢者
セルフネグレクト(自己放任)や他者からの虐待が認められた高齢者は、死亡
率が、そうでない人に比べ有意に増大するという。セルフネグレクトの場合に
は、1年以内の死亡率がおよそ6倍に増大していた。米国Rush大学のXinQi Dong
氏らが、9,000人超の高齢者について、前向きに調査をして明らかにしたもの
で、JAMA誌2009年8月5日号で発表した。高齢者のセルフネグレクトあるいは他
者による虐待は大きな問題となっているが、死亡率との関連を調べた研究は珍
しいという。
65歳以上の9,318人を、中央値6.9年で追跡
Dong氏らは1993~2005年にかけて、シカゴ地域に住む65歳以上の高齢者、
9,318人について調査を行った。そのうち、セルフネグレクトが報告されたの
は1,544人、虐待は113人だった。
追跡期間の中央値は6.9年(四分位範囲7.4年)で、その間に死亡した人は
4,306人だった。
セルフネグレクトの1年死亡率は5.8倍、虐待の総死亡率は1.39倍に
セルフネグレクトを報告した高齢者の1年死亡率は、270.36/100人年、1年以降
死亡率は9.46/100人年だった。一方、セルフネグレクトの報告のなかった高齢
者の死亡率は、5.01/100人・年だった。
セルフネグレクトを報告した高齢者は、そうでない人に比べ、1年以内の死亡
に関するハザード比が5.82(95%信頼区間:5.20~6.51)だった。1年以降の
死亡に関する同ハザード比は、1.88(同:1.67~2.14)と、1年以内より低下
はするが依然として有意に高かった。なかでも、白人(補正後ハザード比:
1.63)、男性(補正後ハザード比:1.72)の死亡率が高率だった。
一方、虐待の報告された高齢者の死亡に関するハザード比は、1.39(同:1.07
~1.84)だった。
なお、セルフネグレクトや虐待による死亡率の増大は、認知能力や身体機能レ
ベルの低いグループ以外でも認められた。