世界各国の法人税税率の一覧
世界の主要国の法人税率をまとめました。日本は法人税率が高いとよく言われていますが、実際に法人税の法定実効税率(所得税・住民税など税の合計)は39パーセントと、アメリカに並んで世界で最も高い水準にあります。
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※参照: OECD Tax Database(データは2008年の税率)
近年、世界各国とも法人税率が低下傾向にあります。例えば1990年時点では、日本の法人税の法定実効税率は最大50%でした。しかし日本だけが突出して高税率だった訳ではなく、フランスやイタリア、フィンランドやデンマークなど、ヨーロッパ各国も当時は軒並み法人税税率が40%を超えており、ドイツなどは最大54.5%にものぼりました。
ところが経済がグローバル化したため、企業はより税率の低い国に登記することでコストを抑える方法を模索し始めます。その為、法人税率を引き下げて企業を誘致する国も現れ始めます。アイルランドなどはその典型で、1990年当時は43パーセントもあった法人税率は、2008年度には12.5パーセントにまで下げられています。
税率を下げる事で企業を誘致することは「タックスヘイブン政策」と呼ばれ、産業に乏しい小国がグローバル経済で生き残る為の国家戦略です。アイルランド以外にもルクセンブルグやモナコやサンマリノ、ドバイやバーレーン、モルディブやシンガポールなどが当てはまります。
法人税率の低下~タックスヘイブン問題
タックスヘイブン国家が増え始めたため、先進諸国も自国企業を取られまいとして法人税率を下げ始めました。こうして世界中で法人税下げ競走が行われはじめましたが、これは先進諸国にとっては悩ましい問題です。法人税を下げればその分財源が減り、国家の財政を圧迫します。かといって所得税率を上げようとすれば、富裕層は企業と同様、居住地をタックスヘイブンに移してしまいます。
結局は消費税など「取りやすい税金」を上げる事で賄われる現象が、先進諸国で起こっています。しかし消費税は究極の逆進税であり、富裕層優遇・庶民いじめの最悪の税制です。産業を持たない小国にとって、タックスヘイブン政策は国家として生き残る為の有効手段かもしれません。しかしその政策が、世界各国で富裕層優遇の税制を促進させ、貧富の差を拡大する元凶となっています。
タックスヘイブン対策は、一国単独で行っても何の効き目もありません。世界中の国が団結して法人税率を一定水準以上下げないようにすると共に、タックスヘイブン諸国に対しても税率増加政策への転換圧力を掛けていく以外に方法はありません。タックスヘイブン諸国に対しては、先進国側が経済援助など他の面で手助けしてあげればよいのです。