若い頃は周囲の人の頭の良さに感嘆していた
問題解決への最短距離をぴたりと見つける、軽々と見つける
年を取るとそのタイプの頭の良さの弱点も見えてくる
問題解決の最短距離というものはだいたいは一つか二つなので
誰が速いかということになる
結局はそんなものだ
昔の天才が答えを書物の欄外に落書きしていたりする
ーー
人と話をしていると
結論が纏まる人と
結論には全く至らず、それどころか話が拡散し
結論にはほど遠いという人とがあって
全く違う才能なのだと思う
今のところコンピュータが請け負っているのは
問題の最短距離解決である
ーー
最近思うに
問題をかえって拡散させる人の中にある種の才能が光っている
経済的には恵まれないし
論理では負けるだろうと思う
組織で偉くもならないだろう
しかしなかなかしみじみといいものなのである
なぜなのかは分からない
わたし自身がもともと最短距離型の人間ではないから波長が合うのかもしれない
話していても
解決には至らない
何も決まらない
儲けもないし
人に褒められもしない
しかし何となくよく分かるのだ
最短解決は一つであるが
最長拡散は様々であり
退屈な拡散になることが多いのだが
そこを話芸か文芸かで惹きつけて
なんだかんだいって最後まで引っ張ってしまう
それって人間的魅力でしょう
かえって問題の深さが分かったね
なんて言いながら
帰路につく