勝者の肉食

ブエノスアイレスの街角で

肉をあぶって切って食べさせている
バーベキューみたいな焼き方だ
おいしそう
1キロくらいありそうな固まりを焼いて
300グラムくらいに切って食べさせているようだった
友人によれば
アルゼンチンで
肉を焼いて売るのは
男の仕事なんだって
一日に何キロくらい売るの
と聞かれて
彼は
分かんないよ、そんなの、
ムーチョ、ムーチョと語っていた
ムーチョは much でいっぱい
ベサメ・ムーチョなら たくさんキスして ということらしい kiss me much
ーー
考えてみると
狩猟に出て動物に勝利した者しか肉を食べられない
動物も必死だから
肉を食べるとたぶん明日も勝利するだろう
当てずっぽうを言うがモンゴルが世界帝国になったのは
肉食民族が草食民族を征服したという側面があるのかもしれない
騎馬民族とかそんな要因もあっただろうけれど
勝たなければ肉食できないし
肉食すれば明日も勝つ
これってなんだかつらい現実ではないか
私のような非力でスタミナもない草食人間が希望を抱くのは
結局、肉食人間は血管が詰まって早く死ぬのではないか、
草食人間が長生きするのではないかということなのだが
いまのところ日本人は長生きだから
生きている間は報われなくても
せめて少しは長生きしたいと思っている