公園や緑地が健康を守る

公園や緑地が健康を守る

2009年10月21日   提供:WebMD

 

 

公園の近くに住む人はうつ病になる可能性が低いことが明らかに

Salynn Boyles

 

【10月14日】公園や森など緑地の近くに住むと心と身体の健康が向上することを示す証拠がある。

新たに報告された試験では、緑地に近いとうつ病、不安など健康上の問題が少なかった。この関係は小児と低所得者で最も強かった。

緑地が人々の健康維持に役立つことを示唆する研究はこれが最初ではないが、特定の健康状態に対するその影響を評価したのは初めてである。

オランダの研究者が国内の医療機関の患者健康記録を調べた。郵便番号を利用して各患者の自宅から約3.2km以内にある緑地の割合も計算した。

試験の研究者Jolanda Maas, PhD(Amsterdam's VU University)がWebMDに語ったところによると、「緑地と健康との関連性が最も強く認められたのは自宅から半径1km以内であった」。

不安、うつ病に最も大きく影響

この試験では、96施設約350,000例における治療期間が1年以上に及ぶ24症状の有病率に関するデータも検討された。

24症状中15症状については、健康に影響を及ぼすことが確認されている因子を補正した場合でも、年間有病率は最も緑の多い地域に居住する患者の方が低かった。

その他の主な研究結果

  • 心の健康に及ぼす影響が最も大きかった。緑地が最も少ない地域に住む者と比較すると、緑地が最も多い地域に住む者では治療を要する不安障害の有病率が1/3低く、うつ病の治療を受ける可能性は約1/5少なかった。
  • 身体の健康については、緑の多い地域に居住することの明らかな保護効果は喘息、COPD、上気道感染症などの呼吸器疾患で最も高いように思われた。
  • 心血管疾患、糖尿病、癌など他の一般的な疾患については関連性ははるかに低かった。

驚いたことに、緑地を利用しやすいことはこの試験に組み入れられた最も都会に近い地域に住む者の健康には影響しないようであった。

研究者らは、この理由を質が悪い、大都会にある緑地は安全でないと考えられているため、それほど多く利用されていないからだと推定する。

緑地はストレスを軽減し、運動を促す

これまでの試験から、主に都会の緑地はストレスを低下させ、運動を促すことにより健康を向上させることが示唆される。

「緑地を利用できることは精神的に有利であることを示す多数の研究がある」とUrban Green Institute(オレゴン州ポートランド)の事務局長で都市自然保護活動家のMike Houckは言う。

Houckが1980年に仕事を始めたときには、よく都市設計家に町の中には自然が入り込む余地はないと言われた。

「彼らには、私のやるべきことは町の外の自然地域を保護することで、町の中の自然はすべて基本的に誰でも手に入れられると言われた」とWebMDに語った。「30年かかって明らかに態度が変わった」。

だからこそ、オレゴン州ポートランドの主要健康保険会社2社は2006年に新たに緑地を取得するために2億2700万ドルの公債発行法案を可決させるよう積極的に有権者を説得してくれたのだ。

「公債発行法案が承認されたのは初めてだったが、その重要さを理解してくれた」と彼は言う。「散歩したりサイクリングしたりカヤックに乗ったりする人が身体的にも精神的にも恩恵を受けないとは、私には想像もできない。」