神経痛に対するノルトリプチリンとガバペンチン、単剤よりも併用が有用

神経痛に対するノルトリプチリンとガバペンチン、単剤よりも併用が有用
KEYWORD神経痛|ノルトリプチリン|ガバペンチン|脳神経

神経痛の治療では、ノルトリプチリン(商品名:ノリトレン)あるいはガバペンチン(同:ガバペン)を、単剤で使用するよりも両薬剤を併用投与するほうが高い鎮痛効果が得られることが、カナダ・クイーンズ大学麻酔科のIan Gilron氏らが実施したクロスオーバー試験で明らかとなった。これら2剤は神経因性疼痛の第1選択薬だが、単剤では最大耐用量を用いても60%以上の鎮痛効果が得られることはまれで、除痛は患者の40~60%でしか達成されないという。併用投与することで効果、耐用性がともに増強し、相加的あるいは相乗的な鎮痛効果が得られるのではないかと期待されていた。Lancet誌2009年10月10日号(オンライン版2009年9月30日号)掲載の報告。

3種類の投与順に無作為に割り付けるクロスオーバー試験

研究グループは、糖尿病性多発神経障害および帯状疱疹後神経痛を対象に、ノルトリプチリン単独、ガバペンチン単独、両薬剤併用の二重盲検ダブルダミー・クロスオーバー無作為化試験を実施した。

2004年11月~2007年12月までにカナダの単一施設にdaily pain score(0~10)が4以上の患者56例が登録され、ガバペンチン→併用→ノルトリプチリンの順に投与する群(GCN群:19例)、ノルトリプチリン→ガバペンチン→併用の順に投与する群(NGC群:18例)、併用→ノルトリプチリン→ガバペンチンの順に投与する群(CNG群:19例)に無作為に割り付けられた。

各治療期間は6週間とし、用量は最大耐用量へと漸増した。主要評価項目は、最大耐用量における平均daily pain scoreとした。

単剤で部分奏効を示し、さらなる疼痛緩和を要する場合は併用投与を

3つの治療を完遂したのは45例であり、2つ以上の治療を終了した47例が主要評価項目の解析対象となった。ベースライン時の平均daily pain scoreは5.4であった。

最大耐用量における平均daily pain scoreは、ガバペンチン単独が3.2、ノルトリプチリン単独が2.9、併用は2.3であり、併用はガバペンチン単独よりも0.9(p=0.001)、ノルトリプチリン単独よりも0.6(p=0.02)スコアが低く、有意な鎮痛効果が認められた。

最も頻度の高い有害事象はドライマウスであり、ガバペンチン投与時に比べノルトリプチリン投与時(p<0.0001)、併用投与時(p<0.0001)に有意に高頻度に見られた。試験期間中は重篤な有害事象の発現はなかった。

著者は、「糖尿病性多発神経障害および帯状疱疹後神経痛の治療では、ガバペンチンとノルトリプチリンの併用投与が、各薬剤の単独投与よりも鎮痛効果が高かった」と結論し、「いずれかの薬剤の単独投与で部分的な奏効を示し、さらなる疼痛緩和を要する場合には、併用投与が推奨される。今後は、他の薬剤の併用投与とその単独投与との比較や、併用における逐次投与と同時投与の評価が望まれる」と指摘している。