お口の機能 鍛えて元気に
食べづらい、むせる時は…
「口が乾いてパンが食べづらい」「食事中むせることが増えた」。こんな症状があったら、口の機能が衰えている可能性がある。
かんだり、のみ込んだりする力が低下すると口から食事がしづらくなり、心身の健康を保ちにくくなる。楽しみながらお口の機能を鍛えたい。
「食べる機能は、年を取るとともに気づかないうちに衰えます」と話すのは、財団法人ライオン歯科衛生研究所(東京)の研究者で歯学博士の武井典子さん。武井さんは今年2月、口の機能を自分でチェックし、鍛えるプログラムを日本歯科大学などと共同で開発した。対象は、介護の必要がない人や、要介護でもプログラムを理解し無理なくできる高齢者。
まず〈1〉口まわりの筋力〈2〉そしゃく力〈3〉のみ込む力〈4〉口の清潔度――の四つの視点から口の元気度を自分でチェックする=別表=。武井さんは、「評価項目の内容があてはまらない場合は、食べる力が弱っている可能性がある。それぞれの機能の改善プログラムに取り組んでみましょう」と呼びかける。
〈1〉口のまわりの筋力は、口を開いたり、口の中の食べ物を歯や舌の上に押し戻す働きをしている。家族や友人との「顔ジャンケン」で鍛えよう。口をすぼめれば「グー」、口を開いて「パー」、口をつきだせば「チョキ」。
ほかにもカラオケや口笛などで、ほおや唇を積極的に動かすといい。
〈2〉そしゃく力をつけるには、一口で30回以上かむことが基本。右と左で各10回、両方で10回など意識的にかむ。
〈3〉のみ込む力をつけるには、舌をほんの少し出したまま、つばをのみ込む「べろ出しゴックン体操」を5回以上行ってみる。
首や腰に問題がない人は「頭上げ体操」もいい。ひざを伸ばしてあおむけに寝て、肩が床から離れないように頭だけを持ち上げ、天井に向けた足の爪先を1分間見る。その後、1分間休む。3回を1セットで、1日3セットが目安。
これらの体操は、食道の入り口を広げ、のどの奥の筋肉を強化し、食べ物が誤って気管に入ることを防ぐという。
ただ食事中、食べ物をのみ込みにくいと感じたら、速やかに専門医に相談した方がいい。
〈4〉口の中を清潔に保つためには歯磨きをするのはもちろん、歯がない場合も、粘膜ブラシで歯茎や舌を磨く。入れ歯も毎日洗浄剤に浸し、その前後にブラシで清掃し、細菌やカビを除去することが必要。
改善プログラムを60~90歳代の介護の必要がない高齢者74人が2か月間続けたところ、「固い物が食べにくい」と答える人が減ったほか、唾液(だえき)の分泌が増えたり、舌から見つかる菌の数が減ったりした。
プログラム開発にかかわった日本歯科大学客員教授の岩久(いわく)正明さん(新潟大名誉教授)は、「おいしく食べ、楽しく話す日常生活の基本を支えるのが口の機能。できるところから改善に向けて取り組みましょう」と話す。
(記事提供:読売新聞)
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口の機能としては
歌を歌う
口笛を吹く
楽器演奏の時、息を吹く
薪を燃やすときに息を吹く、
風船を膨らます、
切手をなめる、
袋の封が切れないときに歯でかみ切る、
舌でなめる、
舌打ちをして相手を絶望させる、
口を曲げて、否定を表現する、
舌なめずりをする、
赤ん坊用のおしゃぶりを加える、
たばこを吸う、
パイプをくわえる、
愛し合う、
飴をなめる、
ガムを噛む、
あ、それから、
おはようとお休みのキスをする。