「憂うつ」と「うつ病」はどこが違うの?
「うつ病かも」と心配しすぎて、毎日を楽しめていないのでは?
■「私ってうつ病?」と心配しすぎていませんか?
現代人がかかりやすい心の病に、うつ病があります。うつ病は、強い憂うつが長引き、それまでのようにリズムのよい日常生活を送れなくなってしまう病気です。最近、さかんにマスコミでも取り上げられているので、みなさんもきっとご存知でしょう。
そもそも、ストレスが多い現代では、強い憂うつを感じたり、落ち込みからなかなか立ち直れない人も多いものです。そのため、「私ってうつ病なのかも?」と心配しすぎてしまうこともあるのではないでしょうか?
しかし、憂うつが続いていても、ほとんどの場合は病気といえるほど深刻なものではありません。それなのに、うつ病を心配しすぎて毎日を楽しく生きられないのは、とてももったいないことだと思います。
そこで、あまり心配のない「憂うつ」と心の病気である「うつ病」には、どんな違いがあるのか、あらかじめ知っておくことをお勧めします。
■日常生活に現れる憂うつとうつ病の違い
まず、「うつ病」と「憂うつ」の共通項は、“落ち込んでいる”ということ。ただし、休日に好きなことをしたり、人と会って憂さ晴らしをしたときに多少は気が晴れるようなら、さほど心配はありません。
一方、非常に強い落ち込みが2週間以上毎日続いている場合には、要注意。うつ病の可能性が高くなります。うつ病の場合、いままで好きだった趣味にもまったく興味が湧きませんし、やってみても疲れるだけで、ちっとも楽しいと思えなかったりします。人に会うのも億劫になり、誰にも会わずに自分の部屋に閉じこもっていたい気持ちになってしまうことが多いのです。
さらに、日常生活でも大きな違いがあります。心配のない憂うつのレベルなら、おいしいものを思い切り食べれば、気持ちがほぐれるでしょう。しかし、うつ病になると体重が減るほど食欲が落ちてしまって大好物でもおいしく思えなくなったり、反対にやたらと過食に走ってしまう人もいます。
また、ただの憂うつなら疲れているときにぐっすり寝れば、また元気が回復することが多いでしょう。しかし、うつ病の人は何日も眠れない日が続いたり、またいったん寝るといつまでも寝てしまったりすることも少なくありません。
■朝に現れる憂うつとうつ病の違いは?
憂うつとうつ病の大きな違いとして、“朝の気分”があります。ただの憂うつの場合でも、疲れがたまったり睡眠不足が続くと、朝は気分が悪いものですよね。しかし、うつ病の人の朝の気分は比べ物になりません。
うつ病の場合、ベッドからなかなか起きられず、やっと起きたとしてもしばらく頭がぼ~っとして何もやる気が起こりません。当然何も食べる気がせず、朝の準備にもかなり時間がかかります。
ただの憂うつのレベルなら朝に疲れが残っていても、頑張れば遅刻せずに出勤できますし、出社して20~30分もすれば仕事モードに切り替わるでしょう。しかし、うつ病の人は朝に体を動かすのがとてもしんどいので、どうしても遅刻や欠勤が目立ってきます。
出勤してもしばらくぼーっとしており、午前中はなかなか調子があがらず、仕事の能率も悪くなります。しかし、夕方になると少し楽になって普通に仕事ができるようになったりします。そのため、周りからは「あいつは怠け病だな」「生活管理ができていない」などと誤解されることもあります。
■憂うつとうつ病の人が考えることの違いって?
さらに、考えることにも大きな違いがあります。いちばん大きいのは、自殺願望です。
もちろん憂うつな人でも、ときには「死んでしまいたい」と思うこともあるでしょう。しかし、ふっと思いつく程度で、一日中自殺願望が頭に張り付いているということは少なく、気分転換をしたり、誰かに話を聴いてもらったりすればたいていは気分がよくなるのではないでしょうか。
ところが、うつ病の人は自殺について毎日繰り返し考え始め、気持ちを切り替える心のゆとりもなくなっていきます。そのため、実際に自殺を図ってしまうことも少なくないのです。
以上で見てきたように、憂うつとうつ病には落ち込みのレベルから日常生活、普段考えていることまで、大きな違いがあります。
以上はあくまでも目安であり、すべて同じ症状になるというわけではありません。しかし、自分はうつ病のケースに当てはまるとほど憂うつが重くないと思ったら、過度に心配しすぎず休息と気分転換を増やして、ストレスをためない生活を心がけていきましょう。
一方、うつ病のケースに近いようなら、早めに心療内科や精神科で相談することが大切です。ただし、うつ病といってもさまざまで、ここで紹介したケースに当てはまらない症状が目立つものや、精神症状が目立たないものもあります。いずれにしても、休息や気分転換で改善しない場合には、やはり受診して相談してみることが大切です。
うつ病、薬やカウンセリング、生活指導による専門的な治療をすれば必ずよくなります。自分で探して受診するのが不安な場合には、かかりつけの内科医に相談して紹介してもらうのもよい方法です。
参考文献/『DSM-IV-TR 精神疾患の分類と診断の手引き』医学書院
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一般にはこんな感じのようですね。
啓蒙もなかなか難しいです。