インフルエンザにどう対処するかとなると、悩ましい。
ワクチンには一定数で重篤な副作用が出ることが知られている。
しかしインフルエンザに感染すると、たとえば脳症のようなものになる可能性がある。
妊娠可能な女性の場合には、いろいろな心配がある。薬も心配である。
高熱を嫌って、解熱剤を使用すれば、それがまた重篤な症状を招く可能性があるというので、困る。
一応、小児にはアセトアミノフェン(カロナール、ナパ、タイレノール)を使う。
全身状態を管理して、免疫力を賦活したいのだが、
熱を下げたらいいかどうか、意見が分かれる。
熱が出るのは、ウィルスの増殖を妨げているのだから、熱を下げなくていいとの意見あり。
一方で、熱を下げて、体を楽にして、食欲を出して、抵抗力を引き出した方がいいとの意見あり。
患者さんのその時の状態によるだろう。
熱が出るのはなぜか?
防御になっているか?
たとえば、梅毒の場合、わざとマラリアに感染させて熱を出せば、
梅毒の病原体であるトレポネーマは熱に弱いので、まず梅毒を退治できる。
そのあとで、マラリアを治療すればいいと考えた時代もあったようだ。
しかし現代で、インフルエンザにかかった人を、高熱のまま放置しておいていいかといえば、少し迷う。
寝ていていい人だったら、横になって充分に汗をかくのもいいと思うが。
熱が出るのは自然の反応だから妨げない方がいいという理屈は、半分正しいのだが、
半分しか正しくない。
確かに進化の方向は発熱反応であるが、
それは進化の方向として、間違えていたということだってあるのだ。
進化はいつも正しいわけではない。
ウィルスに感染したら、食欲が猛烈に出て、たくさん食べるという状態を考えれば、
熱を出しているよりはよほどいいだろうと思う。
しかし一方、
感染のもとが食事、つまり食あたりだったら、
とりあえず食欲がなくなるのがよい進化である。
熱を出して、免疫力も弱めるが、ウィルスも弱めるか、
熱を下げて全身状態を良好にして、食欲も確保して、水分も摂取して、
免疫力を高めて、ウィルスを攻撃した方がいいのか、どっちがいいのだろう。
これも、個別の場合によるだろう。
現代の状況であれば、とりあえず全身状態を改善した方が利益が大きいように思う。
だって、ウィルスを熱で攻撃するよりも、免疫で攻撃したほうがいいに決まっている。
熱で攻撃するのなら、局所を遠赤外線か、マイクロウェーブで温めたらいいだろう。
性器ヘルペスの場合には、性器を、蛍光灯から出る紫外線に
しばらく曝していてもらったりしたもので、
女性には評判がよくなかったが、
まあ、そんな感じだ。
人間の体温はしばらく36から36.5℃前後だったものだが、
最近は低体温の人が増えている。
平熱はいくらくらいですかと質問して、
35度台という人も少なくない。
これは、ある種のウィルスに弱くなっている一因ではないかとも思われる。
子供の頃は8度や9度の熱は平気だったものだ。
大人が驚くほどはつらくなかった。
抗ウィルス剤もあるけれど、使いにくい。
タミフルは異常行動が心配だし、
リレンザは吸入で使いにくい。
麻黄湯という選択もあるが、効果についてはよく分からない。
シンメトレルは、早々に耐性発現が宣言されて、あまり使われていない。
麻黄はエフェドリンで、大量に使えば、精神症状が出る。
漢方薬は、精神症状が出る前に、下痢をする。
麻黄附子細辛湯は麻黄湯よりも体が温まる感じがある。
附子も長期大量に摂取すれば死に至る。
インフルエンザ判定キットも、
どの時期に調べるかで、不安定な要素がある。
早すぎても陽性にならないし、
遅すぎれば、意味がない。
手洗いを入念に頻回にすること。
あとはなるべく人混みに行かないことだ。
その点では、引きこもりは理にかなっているかもしれない。
おまけに手洗い強迫ならもっといい。
うがい強迫もあれば完璧だ。
あの人と同じ空気を吸っていると思うだけで絶望すると発言する人がいるけれど、
実際、ウィルスが飛沫感染するということは、
その人の肺から出た空気を吸っているということで、
インフルエンザにかかることと同じくらい絶望的だ。
空気を吸わなくても、手を通じてうつる。
したがって、
電車に乗るだけでもかなりアウトだけれど、
つり革につかまるなど、論外である。
その手でうっかり目をこすったりすれば、ほとんど自殺行為である。
最近話題になったことで、
男性はトイレのあと手を洗わないのではないかとの意見があり、
実際、洗わない人もいるようだ。
自分の部屋とかで洗っているのかもしれないが、
それまでの間のドアノブはどうなるのだろう。
インフルエンザウィルスが性器で培養されているとも思わないが、
粘膜部分であり、培養されない理由もないだろうと思う。
女性の場合には酸性度が強いから、
インフルエンザウィルスが好むとは思えないが。
と言うことは、女性で、のどが腫れる癖があるという人は、
注意が必要ということになる。
のどが悪いのではなくて、
ある種の生活習慣が問題であるかもしれないからだ。
知り合いに、トイレ後ではなく、トイレ前に手を洗うという人がいる。
大切な性器を手についた雑菌で汚染したくないからだと言う。
さすがに医者は考えが違う。
でも、お願いだから、トイレ後にも洗って欲しい。
トイレ前は自分の性器のために、トイレ後はみんなのために。
手袋もひとつの方法であるが、
汚染がどんどん集積してゆくのだから、
考えてしまう。
たとえていえば玄関マットのようなものだ。
あるいは、ダスキンモップだ。
手袋を使うなら、まめに洗濯するか、使い捨てにするしかない。
エレベーターでボタンを触るなどとてもできない。
ぜひ音声認識方式にして欲しい。
タクシーもどんな人が乗って何をしたかわからない場所である。
洋式便座に座れないのはもちろん、
タクシーにも座れない。
立って乗るタクシーなら妥協できるかもしれない。
しかし体の揺れをどうして抑えたらいいか分からない。
前記のとおり、つり革は禁忌である。
自分の車が一番いいが、空気を汚す。
メタボリックシンドロームにもなる。
知り合いに、白金から赤坂まで自転車で通勤している女性がいる。
急に雨になったりすると困るらしい。
夜も、少し心配。
いろいろ比較すると自転車が一番いいと今日の結論。
でも、自転車通勤するためには、彼女くらい高額所得者でなければ、無理。
雨の日は休める仕事なら、なおよい。
となると、ガテン系で、しかも日給が7万円くらいでないとやっていけない。
しかし、以前、皇居の周りを散歩のコースにしていた犬が老衰で死んで、
データが欲しかったので解剖したら、肺はかなり汚れていたそうだ。
もちろん犬はタバコを吸わないのに。
それをみて、東大経済の先生、宇沢弘文氏は考え込んだそうだ。
彼は東大や都内のあたりをジョギングして健康づくりと考えていたのである。
肺がこんなに真っ黒になってはたして健康になるのだろうか。
やはり引きこもりが理にかなっている。
あるいは、最初に引いてしまうというのも、方法である。
流行の初めの頃に、病院の待合室にいれば、すぐにインフルエンザになる。
あるいは、お医者さんはインフルエンザになりやすいから、うつしてもらうのもよい。
最初に引いた方が、あとに引くより軽いはずだ。
あとになるほど、ウィルスは凶悪になっているはずである。
軽いうちに感染して、免疫を獲得すれば、それがいいのかもしれない。
数多くの人の免疫をすり抜けて勝ち残ってきた凶悪なウィルスと、
流行の後半になって戦うのは、免疫系としても大変かもしれない。
こう考えれば、一番早く流行をつかまえて、インフルエンザを済ましてしまうのが、吉である、
かもしれない。