統合失調症とうつ-4

クローの言う陽性症状と陰性症状の区別は単に言葉の使用習慣による部分もあるのではないかと思うことがある。むしろ、ジャクソニスムの原則に立ち返って、陽性症状と陰性症状を定義すればいいと思う。ジャクソンによれば脳は層構造をなし、上位の脳は下位の脳を抑制的に制御している。脳の上位の機能欠落は、その欠落そのものの症状と、その機能が欠落したことによる下位機能の突出を結果する。これがジャクソンのいう陰性症状と陽性症状である。ジャクソンの意見とクローの意見はどのように関係するのか。
 統合失調症の場合、幼児の頃から用意されたドパミン過敏性がある。具体的にはレセプターの数が多すぎるとイメージしよう。そこに脳に何らかの欠落Xが発生する。その欠落が生じることによって、下位の機能の突出が起こる。それまで抑制されていた「世界モデル」からの出力の遅延が生じる。だから自我障害が生じる。これが陽性症状である。この自我障害を補完しようとして生体は反応し、「世界モデル」からの出力を早く届けようとする。

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この説明と、ドパミン・ドパミンレセプターの話をつなぐこと。