抗うつ薬は感情処理を急速に改善

抗うつ薬は感情処理を急速に改善
2009-11-04 16:36:18 -0400 (ロイターヘルス)発
By David Douglas
ニューヨーク(ロイターヘルス) – レボキセチンは、抑うつ状態の患者におい
て、症状に変化が現れるよりも先に、感情処理における評価を数時間で向上さ
せることが、英国の研究者らにより示されている。
「本研究結果は、抗うつ薬の作用機序に関する新しい考え方を提供している」
と主任研究者のDr. Catherine J. Harmeはロイターヘルスに語った。「具体的
には、本結果により、脳内の化学伝達物質の変化が、抑うつ状態の心理学的お
よび主観的経験にどのような変化をもたらすのか、ということを概念化でき
る」
American Journal of Psychiatry誌10月15日号で、Warneford Hospital(オッ
クスフォード)のDr. Harmerらは、抗うつ薬の急性投与は、健康な被験者にお
いて肯定的感情処理を促進する、と述べている。
このことが抑うつ状態の患者にも当てはまるかどうかを解明するために、同研
究者らは3ヶ月以上薬剤を服用していない患者33名および整合した健康な被験
者31名について検討した。
二重盲検方式で患者を、ノルエピネフリン再取り込み阻害薬であるレボキセチ
ン1回4mgを投与する群、またはプラセボ群に無作為に割り付けた。3時間後、
患者は一連の感情処理作業をおこなった。
被験者群と比較して、患者群は、肯定的な顔の表情の認識力の低下、自分の性
格を肯定的に表現する形容詞に対する反応速度の減少、および記憶力の低下を
示した。
一方、実薬を投与した抑うつ状態の患者においては、これらの否定的な情報処
理バイアスの相関は基本的に標準化された。これは、不安または気分に対する
主観的評価の変化に関連しない場合だった。
また、抑うつ状態の患者におけるレボキセチンの効果は、健康な被験者におけ
る効果と同程度またはそれ以上であったことを同研究者らは指摘している。
本研究結果は、「第一に、薬剤および心理療法の開発に影響を与えるべき重要
なプロセスに関する情報を提供すること、そして第二に、新たな治療法を直接
患者にテストする前に、我々がその効果をテストし、理解し、改善できるよう
にすること、などのいくつかの臨床的意義を持つ」可能性がある、とDr. 
Harmerは続けた。
「さらなる研究により、より効果的に個々の患者への異なる治療を個別化およ
び統合することも可能になるかもしれない」と同研究者は結論付けた。
Am J Psychiatry 2009;166:1178-1184.