陰性症状と陽性症状については
しばしば言及していて
今さらの感じはあるけれど
もう少し
統合失調症で
普通ならないはずのものがあることを陽性症状と言って
幻覚・妄想なんて言っている
普通ならあるはずのものがない場合は陰性症状と言って
感情の平板化とか意欲減退とかそんなことを言っている
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でもたとえば
躁うつ病の場合にも言えるのかなと考えてみると
少し考えて
もちろん躁病が過剰で
うつ病が不足のように思われるわけだけれど
自殺したいという気持ちは
何かの不足なのか過剰なのか
自殺したい気持ちの過剰や悲観的考えの過剰だと言えるし
生きる意欲や将来への希望が不足とも言える
そんな話は言語の習慣でしかない
サンスクリット語では
「非在が存在する」というような語法をよく使うと
中村元先生に教えてもらった覚えがある
存在するとは非在の不足なのである
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統合失調症ならば
ドパミンが多すぎるのと少なすぎるのとで
陽性症状と陰性症状に振り分けたい気がするのだけれど
どうか?もちろんとても怪しい
でも、一応話のつじつまは合うので
個人的にはよく使っている
潜在的にドパミンへの過敏性があると仮定して
陰性症状主体の生育歴を説明し
思春期でドパミン過剰になって陽性症状が出現し
その時期が終わると
長い陰性症状が残るという説明
躁うつ病になると躁病がセロトニンの過剰だというわけでもないので
セロトニンの多い少ないだけで
何か結論できるわけでもない
統合失調症はドパミンでうつ病はセロトニンで躁病については何も言わないというのは
最近の話で
またすぐに変わるだろう
脳イメージングで血流やグルコース代謝で何か結論を言いたいようだけれど
それが原因なのか結果なのかも分からない
なにしろ脳の中ではドパミンとセロトニンは独立しているのではない
東横線に乗っているつもりが途中から日比谷線になっていたみたいなもので
日比谷線が事故を起こすと東横線も停まってしまう
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すごくレベルを落としてたとえ話をすると
男性にあるはずのものがないのが女性で
だから男性は陽性で女性は陰性だと言ったとすると
そういうとらえ方ができないわけではないけれど
あまりに一面的すぎてほとんど意味がない
言語の習慣に過ぎないことが分かる
陽根、女陰と言ったりする
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しかしまた
現在目の前にある症状が
何かの不在で、何かの過剰であると、見極めるのは大変有用である
ジャクソニスムでいえば
脳の欠損はその部分の機能欠落を生じ、さらには
その下位部分の機能過剰を生じる
これは実に頭のいい考え方で好きなのだが
難しい
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物事を極端に簡単にして説明する仕方として
陰陽の説は昔からあって
中国でこの言葉を使っていた
3とか5とかもよく使われる
血液型は本質的には2なのだけれど
その組み合わせで4になる
漢方で虚実とか証を言うときも
二分法で細分化していく
なんのことはない
脳の都合をぶちまけているに過ぎないようだ
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デジタルの時代によく合うのだろう
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