統合失調症で自殺が多いことは承知しているわけだが
ここに症例がある。
25歳、大手自動車会社勤務、転勤して環境が変わり、
上司との関係に悩み、同時にプライベートで遠く離れた恋人との関係に悩む。
幻聴と被害妄想がはじまり、医院を受診、第二世代抗精神病薬を投与され、経過を見たが、
仕事が手に付かないので、一旦自宅休養とし、田舎に帰って休んだ。
再度上京して通勤訓練を開始、比較的順調だった。
その日も、次の一週間のスケジュールについて話しあい、納得した感じで帰宅。
薬剤も同じで一週間分。
数日たって母親から電話、首吊して死んでいたのを発見されたという。
レシートを見ると、最後の通院の帰り道に、ホームセンターに立ち寄り、ロープを購入したらしい。
死にたいというサインは周囲の誰にも発信せず、
主治医にもまったくその素振りもみせず、
自殺未遂の過去もなく、希死念慮の表明もなく、
いきなり自殺してしまった。
十分注意しつつ、第二世代抗精神病薬を使用して、こうした結果になる。
だから、統合失調症の場合、うつ症状があってもなくても、自殺には注意をして、
危険がなくても定期的に話題にするくらい慎重であった方がよいと思われる。