その人は私より年下で
学歴とか家柄とかやはり私にはつりあわないものがあって
最初は営業だったわけ
意外に長くなってかれこれ一年たって
私のほうがちょっと熱くなって
どうなのよ、私だっていつまでも待てないのよなんて
言ったわけ
そしたらさ
分かってると思ってたけどな
そういうのじゃないよ
年も境遇も違うんだしさ
割り切ってるんだろう
とか言うわけ
まあ、それはね、私だって分かってる
擬似恋愛なんだからさ、ちょっと私がマジになっちゃったんだ
分かってる
私だって業界人だしさ
でもさ、恋愛って、どうしようもないことがあるじゃないさ、
そこのところを分かってくれるのが大人じゃないさ、
それをねえ
お前はどうせお水だろみ、みたいなこと言われたんじゃ
急にはしごはずされたみたいでさ
だから私は何日も泣いて
もう大体心の整理は出来て
一撃必殺の決心で
「私はあなたが好きなんだもの、いつまでだって待てるよ、待つと決めたんだよ、あなたに生涯をささげたんだもの」
なんて言ってやった
今度はあいつが擬似恋愛と本物恋愛の区別が出来ないで悩めばいいんだ
ウソダヨーって言ってやるから
「本気になるから困るわね、おぼっちゃまは。あたしはお水なんだよ」
なんて言ってあげるんだわ。
あー、でも、くやしい。
好きになったほうが泣くように出来てるんだ、恋愛は。