ハンチントン病における DNA修復障害

 手足などが不随意運動をしたり、認知障害などの症状が出る神経難病「ハンチントン病」は、病気の原因タンパク質によって、損傷したDNAを修復する仕組みが働かなくなるのが原因との研究結果が発表された。
 この仕組みを回復させることが、ハンチントン病の新たな治療法開発につながる可能性があるという。
 ハンチントン病は、遺伝子変異が原因で「変異型ハンチンチン」という異常なタンパク質ができる。これが「Ku70」というタンパク質と結合する。
 Ku70は、ほかの2種類のタンパク質と複合体を作り、2本鎖のDNAが損傷した場合に修復する機能がある。変異型ハンチンチンがあると複合体を作りにくくなることをマウスの実験で確認した。
 複合体を作る前に、Ku70が分解されるなどして少なくなるためとみられ、変異型ハンチンチンがあるマウスでKu70を通常の2倍程度作らせると、生存期間が約30%長くなった。
 治療に応用するには、Ku70を作る遺伝子を導入する方法や、変異型ハンチンチンがKu70と結合するのを阻害する化合物の開発などが考えられる。
 ハンチントン病は、日本では人口10万人当たり約0・5人の患者がいるとされる。
(ジャーナル・オブ・セル・バイオロジー)