人間が欲しいものは
いいものではなくて珍しいものだという話がある
みんなが欲しい物はみんなに行き渡るくらい存在するのがよいはずだ
しかしそうではない
みんなが欲しい物は一部の人しか手に入れられないものなのだ
ーー
酸素はいいものだが
だれも欲しいとは思わない
水や日光も昔は誰にも等しく与えられたものだ
水は最近は売るようになったが
宣伝の効果が大きい
光は日当たりをカネで買う時代だが
夏は暑いぞ
酸素や水や日光は文句なくいいものだが
だれもそんなに欲しいとは思わない
自分が優越しているしるしにならないからだ
ーー
人間が欲しいのは自分が他人に優越しているというしるしである
ただのしるしなのだ
たとえば猫の身になってみればいい
本当に必要でいいものは何かが見えてくる
二重まぶたとか大きなおっぱいとか
大きな腕時計とか
人間は売るものがなくなると
不必要な差異を作り出して
それを拡大して商品にする
人間の脳が差異や新規性・稀少性に対してドパミンを放出するように出来ているのだから
仕方がない
だから浮気もなくならない