割り当てられたカード

人生を生きてみて

私は神様に割り当てられたカードをあらかた引いてしまった
あと残っているのは死に方くらいのものだ
伏せられていて
めくられるのを待っているカードはもうほとんどないのだ
割り当てられたカードも案外少なかった
ーー
私は人生の一回性をよく理解していなかったと思う
伏せられたカードをどの順番でめくるかが人生の内容であるのに
私はでたらめにめくってしまったような気がする
その時いい加減にめくったカードを見て
神様は「それがお前が良く考えた末に選んだカードだ」とみなしたのだろう
神様の要求は私にはちょっと重い
ーー
今はもう新しいカードを引くことはできない
自分がどのようなカードを引いて
その結果がどうなったのかを
振り返ることができるだけだ
それはしかし悪いものではない
半ば私は神のような立場になるからだ
将棋が終わったあとで検討しているような妙な気分だ
一段昇格したような気分になる
プレイヤーからコメンテイターへ
そしてそれが悲しい
まだプレイヤーでいたい