表2 | ||
ディスチミア親和型うつ病および逃避型抑うつの対比 | ||
ディスチミア親和型うつ病(樽味ら 2005) | 逃避型抑うつ(広瀬 1977) | |
年齢層 | 青年層 | 30歳前後 |
関連する病態 | student apathy(Walters)退却傾向(笠原)と無気力 | 非定型うつ病 |
病前性格 | 自己自身(役割ぬき)への愛着 | 弱力性のヒステリー性格 |
規範に対して「ストレス」であると抵抗する | 自己愛的傾向 | |
秩序への否定的感情と漠然とした万能感 | ||
もともと仕事熱心ではない | ||
症候学的特徴 | 不全感と倦怠 | 選択的抑制 |
回避と他罰的感情(他者への非難) | 出社に際し不安,恐怖症状 | |
衝動的な自傷,一方で“軽やかな”自殺企図 | ||
治療関係と経過 | 初期から「うつ病」の診断に協力的 | 初期は病識が乏しい |
その後も「うつ症状」の存在確認に終始しがちとなり「うつの文脈」からの離脱が困難,慢性化 | 入院後は模範患者になる | |
薬物への反応 | 多くは部分的効果にとどまる(病み終えない) | 初期は比較的良好 |
認知と行動特性 | どこまでが「生き方」でどこからが「症状経過」か不分明「(単なる)私」から「うつの私」で固着し,新たな文脈が形成されにくい | 連休後に欠勤しやすい 女性との強い結びつき 拒絶への過敏 |
予後と環境変化 | 休養と服薬のみではしばしば慢性化する | 理解ある上司の下では好調となる可能性, 全体的には不良 |
置かれた場・環境の変化で急速に改善することがある |