対人関係療法の本を読んでいると
我々が常識的に行っている治療の考え方を
きちんと言葉にして定式化してくれている部分があって勉強になる
たとえば「病者の役割」がその一例だ
世間でよく言われることに
「病気だからと何でも許されるのか」
「病気を理由にして甘えている」などがある
病気である故に免除される社会人としての義務や責任は確かにある
労働義務の一時的免除など
しかしそれでも生活費はほどほどに保証されるなど
それは「甘え」ではないかとの批判に対しては、
病気である故の義務が発生するのだと考える
病気であるから
何もしなくてもいいのではないし
何をしても許されるのではない
病気からの回復のために社会で決められた事柄を実行しなければならないのだ
それが病者の役割である
医者に言われたら薬を飲まなければならないし
定期的に通院しなければならないし
要求があれば治療の進み具合を報告しなければならないし
指導に従ってリハビリに取り組まなければならない
病気だからそのような取り組みも出来ないというのでは
「病者の役割」を拒絶して「病者の義務」を放棄している事になるので
それは許されない事だ
もっとも合理的な復帰のプログラムをたどる義務がある