EUは、経済においては、ユーロにより通貨統合し、
パスポートもなく移動できるようにした。
その一方で、
文化においては多様性の保持を掲げ、
加盟国すべての公用語をEU諸機関の公用語とする、
多言語主義を原則としている。
2007年の時点で、
EUには27の国が加盟し、
23の言語の使用が認められている。
ブルガリア語、
チェコ語、
デンマーク語、
ドイツ語、
エストニア語、
ギリシャ語、
英語、
スペイン語、
フランス語、
アイルランド語、
イタリア語、
ラトビア語、
リトアニア語、
ハンガリー語、
マルタ語、
オランダ語、
ポーランド語、
ポルトガル語、
ルーマニア語、
スロバキア語、
スロベニア語、
フィンランド語、
スウェーデン語。
以上で23個。
いやはやすごい。
重要な公式文書や法律は23の言語で書かれる。
通訳も大変だ。
さらに
カタルーニャ語、
バスク語
のような地方語もある。
バスクの人たちは地方語などとは言われたくないであろうが。
ヨーロッパで話される諸言語の多くインド・ヨーロッパ語族に属し、
大雑把に言えば、古代ギリシャ語、ラテン語、英語、フランス語が分かれば、
ほかの言語も、
なんとなく類推はできる程度になる。
ハンガリー語は、特別というのは有名で、
姓名や日付などの語順もヨーロッパ式とは異なるなど、
彼らにすれば複雑で手に負えないもので、
だから脳の訓練になり、ハンガリーは歴史的に多数の科学者を輩出している。
人口比でのノーベル賞受賞者数はトップクラスである。
ナチスの迫害から逃れる為、米国に亡命した科学者はコンピュータの開発や核開発で活躍した。
「多様性の中の統合」をモットーにしているので、
このように煩雑なことになっているらしい。
アジアなら漢字で大体通じるのと似ているような事情である。
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こんな風なことが、
翻訳小説「翻訳」ディエゴ・マラーニ著、橋本勝雄訳の訳者あとがきの中で述べられている。